5:出会いは森の中で ページ6
「僕、まだまだ新人で…旅に慣れてなくて。気付いたら君達に助けてもらってた」
それを聞いて目を丸くしたサトシ、なーんだとホッとした様子のヒカリ、少し苦い顔をしたタケシ。
「今回は俺達が見つけられたから良かったものの、あのまま行き倒れてた可能性だってあるんだぞ。旅は危険なんだ、ちゃんと用心しなきゃだめだろう」
「うん、ごめん。肝に銘じておくよ」
「そうそう。野生のポケモンだっているんだし、襲われたら大変だからな」
タケシに続いて、腰に手を当てたサトシが諭す。
カイトはサトシの言葉にハッとなって腰に手をやった。
「散々お世話になっておいて図々しいのは分かってるんだけど」
「どうかしたの?」
「僕の仲間も診てもらっていいかな?」
そうして取り出したのは2つのモンスターボールだった。
それを見たサトシは驚きと嬉しさを滲ませた声を上げる。
「お前トレーナーだったのか!」
カイトは小さく頷くと、ポケモンをボールから出した。
現れたのは黒と銀の毛並みの持つグラエナと、鋼鉄の翼を持つエアームドだ。
「…だいぶ疲れているみたいだな。最後にポケモンセンターに行ったのはいつだ?」
「…もうかなり前になるかな。道に迷っちゃって、街にもしばらく行ってない」
タケシは顔を顰めて、口を開こうとしたがそれよりも早く、カイトが頭を下げた。
「…グラエナ、エアームド。ごめんなさい。僕のせいで満足に回復もさせてあげられなかった。辛かったよね…本当にごめん」
エアームドが一声鳴いて顔を上げさせ、グラエナが頬に擦り寄る。
大丈夫だよ。カイトは悪くない。そんな声が聞こえるようだった。
なんだ、ちゃんと分かってるじゃないか、と安心したタケシは、ポケモンフーズと木の実、きずぐすりを取り出した。
「2体とも、重症じゃなさそうだ。たくさん食べてよく休めば、すぐに良くなるさ」
そう言うと的確にきずぐすりを当て、2体の前にフーズを置く。その場でオレンの実やオボンの実をブレンドしたフーズは、ポケモンの目にはご馳走に映るだろう。
だがグラエナとエアームドは口をつけず、そっとカイトを見た。
「本当にありがとう」
カイトがそう御礼を言ったのを合図に、グラエナ達はゆっくりと食べ始めた。最初はおずおずといった様子だったがフーズの味が沁みてきたのか、しまいにはがつがつと見事な食べっぷりを見せていた。
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桜光 - ピカチュウ・・・が崩壊してる(;・д・) (2018年12月28日 21時) (レス) id: c1c7fb77d9 (このIDを非表示/違反報告)
こうもり(プロフ) - さん» 謎を作ってしまい本当にすみませんっ!ずっとミスしたままになるところだったので、とても助かりました!そう言っていただけてとても嬉しいです、ありがとうございます! (2017年1月10日 15時) (レス) id: 2edc5e6d88 (このIDを非表示/違反報告)
- それに、よくある作品のように話の内容もぶっ飛んでなくてしっかりしてるし、文章も上手のようなので……とても好きです!これからも頑張ってください。((突然すみませんでした。 (2017年1月10日 13時) (レス) id: 3c17733505 (このIDを非表示/違反報告)
- あ、いやいや目に余るなんて……貴方の作品は凄いと思っています!そういうことだったんですね。謎が判明して良かったです。 (2017年1月10日 13時) (レス) id: 3c17733505 (このIDを非表示/違反報告)
こうもり(プロフ) - さん» 私も時折見返して変換ミスがないか確認していますが、それでも見落としてしまうことがあります。目に余るようでしたら、何話目にミスがあるのか教えてくださると嬉しいです!出来る限り早く対処させていただきます。ご迷惑をおかけしてすみません。長文失礼致しました。 (2017年1月10日 12時) (レス) id: 2edc5e6d88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こうもり | 作成日時:2016年7月18日 7時