32:咲き損ねた薔薇は ページ33
はいAそこで小首を傾げない!
ほーらあいつまた赤くなったよ!効果は抜群だよ!決まりだなこれ、うん決まりだわ!!
つーか折角Aが手ェ貸してやってんのにいつまで座ってんだよA困らせんなその位置俺に変わりやがれ!!
トレーナーに従順な賢いポケモン、という態度の下でグラエナは大層荒ぶっていた。しかしその心境を微塵も表に出すことなく、キリッとした表情完璧に保っている。
「どこか痛いの…?」
「え…あ、っ、いいえ!だ、大丈夫よっ」
目線を合わせるようにしゃがもうとしたカイトを見て、トレーナーは慌てて立ち上がった。カイトの手をとることなく、凄い勢いで。
モココのトレーナーは、くるくるとカールした桜色の髪に黄色のカチューシャを飾った少女だ。モココ色の甘いデザインのワンピースは純白のフリルがたっぷりとあしらわれ、モココを彷彿とさせる仕上がりとなっている。
誰にも悟られない程度に、グラエナは目を細めた。
なんだか非常に面倒くさそうだ。
「ライカ!大丈夫だった!?」
「私達すごく心配したんだから!」
「…ええ。問題ないわ」
バトルフィールドの端の方から、二人のトレーナーが駆け寄ってきた。共にモココのトレーナー…ライカと同じくらいの歳で、どうやら友人らしい。
あーあ、取り巻きまでいんのかよ。
とグラエナの中でライカのイメージが着実に固まっていく。…主に悪い方向へ。しかし、実際の性格がそうであるため、そのイメージは何ら間違っていなかった。
「…助けてくれてありがとう。私はライカっていうの」
「僕はカイト。誰も怪我しなくて良かったよ」
「カイトくん、ね。その…さっきの、すごくかっこよかっ…」
「カイトーーっ!」
いじらしく目線を泳がせながら、ライカが勇気を出して言おうとした褒め言葉は、横から飛んできた声に遮られた。その結果、ライカの言葉はもちろんカイトには聞こえていない。
カイトが自分を呼ぶ声に振り向くと、ヒカリが手を振っている。サトシ達も中庭にくるところだった。
「ヒカリ!」
彼女に手を振るカイトの表情はライカに向けるものよりも柔らかい。
それはカイトにとって彼女達が恩人であり、その優しさを十分に知っているからなのだが……明らかにショックを受けているライカにそんな背景を想像する余裕はないだろう。
「バトルフィールドに人が多いと思ったら、コンテストの練習か」
「みんな熱心だなぁ!」
「…ヒカリ、ですって…?」
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桜光 - ピカチュウ・・・が崩壊してる(;・д・) (2018年12月28日 21時) (レス) id: c1c7fb77d9 (このIDを非表示/違反報告)
こうもり(プロフ) - さん» 謎を作ってしまい本当にすみませんっ!ずっとミスしたままになるところだったので、とても助かりました!そう言っていただけてとても嬉しいです、ありがとうございます! (2017年1月10日 15時) (レス) id: 2edc5e6d88 (このIDを非表示/違反報告)
- それに、よくある作品のように話の内容もぶっ飛んでなくてしっかりしてるし、文章も上手のようなので……とても好きです!これからも頑張ってください。((突然すみませんでした。 (2017年1月10日 13時) (レス) id: 3c17733505 (このIDを非表示/違反報告)
- あ、いやいや目に余るなんて……貴方の作品は凄いと思っています!そういうことだったんですね。謎が判明して良かったです。 (2017年1月10日 13時) (レス) id: 3c17733505 (このIDを非表示/違反報告)
こうもり(プロフ) - さん» 私も時折見返して変換ミスがないか確認していますが、それでも見落としてしまうことがあります。目に余るようでしたら、何話目にミスがあるのか教えてくださると嬉しいです!出来る限り早く対処させていただきます。ご迷惑をおかけしてすみません。長文失礼致しました。 (2017年1月10日 12時) (レス) id: 2edc5e6d88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こうもり | 作成日時:2016年7月18日 7時