22：近くて遠い過去 ページ23
そのときだった。
堂の扉が開け放たれ、光が入り込む。
逆光の中に立っていたのは、祖父が話していた盗賊団だった。
「観念してもらおうか、フローカ・ゴウダイ長老」
「…行けっA！！振り返るな、決して戻るな！！」
祖父の叫び声を受けて、Aは弾かれたように走り出した。
神社の裏口から飛び出して、すぐに見えた茂みに突っ込む。獣道すらない森の中を、ポチエナと共にがむしゃらに走った。
走って走って、村よりも高い山の中腹に着いて。
気が付けば頬には涙が伝い、足や腕には草木で擦り傷が幾つもできていた。
村の位置を目で探して、Aの瞳から大粒の涙が零れ落ちた。
Aの村がある場所が、赤々と燃えている。
…炎だ。奴らの炎が村に牙を剥いたのだ。
「おじいちゃんッ、みんな…ッ！！」
「どこだ、探せ！！」
「どうせ餓鬼の足だ。そう遠くには行っていない！！」
あのとき祖父を脅した声が、山の麓に迫ってきている。
涙を拭うことも許されぬまま、Aはポチエナと共に逃げ出すしかなかった。
「…っ！！…は、ぁ…っ！！」
夜の静けさが満ちる部屋で、カイトは飛び起きた。
(ここはどこ…！？早く、早く逃げなきゃっ、村が燃やされてる、すぐ後ろに追手が迫ってるのに…っ！！)
暗闇に慣れた目が、すやすやと眠るサトシ達を捉えて、カイトは漸く息をすることが出来た。
(夢、か…)
育て屋を手伝ったお礼に、一晩泊めて貰えることになったのだった。
広間に布団を敷いてもらって、そこで一泊していたのだ。
夢と現実の区別がついても、まだ心臓は早鐘を打ち、息は荒いまま治らない。
穏やかな表情でむにゃむにゃと気持ち良さそうに寝ているサトシを一瞥すると、カイトはゆっくりと起き上がった。
建物の外へ出て、向かったのは庭の一番奥の湖。
柔らかいそよ風が木々と湖面を撫でる。ぽっかりと浮かぶ月も相まって、とても静かな夜だった。
独りでにボールから飛び出した仲間が、カイトにそっと寄り添った。
「…グラエナ、エアームド」
帽子を被らず上着も着ていないカイトは湖面をぼんやりと見つめ、儚げな雰囲気を纏っている。
「私、何やってるんだろうね」
少年の姿をしたAは、ぽつりと呟いた。
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桜光 - ピカチュウ・・・が崩壊してる(;・д・) (2018年12月28日 21時) (
レス) id: c1c7fb77d9 (このIDを非表示/違反報告)
こうもり(プロフ) - さん» 謎を作ってしまい本当にすみませんっ！ずっとミスしたままになるところだったので、とても助かりました！そう言っていただけてとても嬉しいです、ありがとうございます！ (2017年1月10日 15時) (レス) id: 2edc5e6d88 (このIDを非表示/違反報告)
- それに、よくある作品のように話の内容もぶっ飛んでなくてしっかりしてるし、文章も上手のようなので……とても好きです！これからも頑張ってください。((突然すみませんでした。 (2017年1月10日 13時) (レス) id: 3c17733505 (このIDを非表示/違反報告)
- あ、いやいや目に余るなんて……貴方の作品は凄いと思っています！そういうことだったんですね。謎が判明して良かったです。 (2017年1月10日 13時) (レス) id: 3c17733505 (このIDを非表示/違反報告)
こうもり(プロフ) - さん» 私も時折見返して変換ミスがないか確認していますが、それでも見落としてしまうことがあります。目に余るようでしたら、何話目にミスがあるのか教えてくださると嬉しいです！出来る限り早く対処させていただきます。ご迷惑をおかけしてすみません。長文失礼致しました。 (2017年1月10日 12時) (レス) id: 2edc5e6d88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こうもり | 作成日時：2016年7月18日 7時
