18:こんにちは、育て屋さん ページ19
「…あの、」
「あら!どうしたの?」
野菜を刻んでいたお婆さんが手を止め、台所の入り口に立ったカイトを振り返る。
「何か手伝うことがありますか?」
「まあ、ありがとう。野菜スープを作るところなのだけど、これを切ってもらってもいいかしら?」
快く頷いたカイトは帽子を脱いで、包丁を受けとる。
見事な手際、とまではいかないが、丁寧で手慣れている包丁捌きに、お婆さんがふっと目を細める。
「上手ねぇ。やっぱり旅の人は何でも出来たりするの?」
「…いえ。僕は旅に出たばかりなんです。料理もタケシに任せきりですし…」
「そうなの?なら…お家でお手伝い、ちゃんとしてたのねぇ」
「少しだけ、ですけど」
はにかんだカイトを見て、お婆さんは優しく笑い声を溢した。
何か変なことを言ったのか、とカイトが少し眉を寄せると、柔らかい笑みで否定された。
「いえいえ、違うのよ。私達にも孫がいたらこんな感じなのかしらって、思ったのよ。こんな立派な男の子に育って、ご家族はさぞ鼻が高いでしょうね」
野菜を刻む手が、ぴくりと止まった。
それと同時に、育て屋の受付口の方から電話の着信を知らせるベルが鳴る。
遠くで鳴った電話をとる為、調理を任せた彼女には、カイトの感情が嚙み殺した顔に気付かなかった。
「僕は…そんな立派な人間じゃない」
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桜光 - ピカチュウ・・・が崩壊してる(;・д・) (2018年12月28日 21時) (レス) id: c1c7fb77d9 (このIDを非表示/違反報告)
こうもり(プロフ) - さん» 謎を作ってしまい本当にすみませんっ!ずっとミスしたままになるところだったので、とても助かりました!そう言っていただけてとても嬉しいです、ありがとうございます! (2017年1月10日 15時) (レス) id: 2edc5e6d88 (このIDを非表示/違反報告)
- それに、よくある作品のように話の内容もぶっ飛んでなくてしっかりしてるし、文章も上手のようなので……とても好きです!これからも頑張ってください。((突然すみませんでした。 (2017年1月10日 13時) (レス) id: 3c17733505 (このIDを非表示/違反報告)
- あ、いやいや目に余るなんて……貴方の作品は凄いと思っています!そういうことだったんですね。謎が判明して良かったです。 (2017年1月10日 13時) (レス) id: 3c17733505 (このIDを非表示/違反報告)
こうもり(プロフ) - さん» 私も時折見返して変換ミスがないか確認していますが、それでも見落としてしまうことがあります。目に余るようでしたら、何話目にミスがあるのか教えてくださると嬉しいです!出来る限り早く対処させていただきます。ご迷惑をおかけしてすみません。長文失礼致しました。 (2017年1月10日 12時) (レス) id: 2edc5e6d88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こうもり | 作成日時:2016年7月18日 7時