10:旅を始めよう ページ11
カイトもサトシ達の旅に加わることが決まり、一行は出発に向けて荷物を纏めていた。
トレーナー達が片付けをしている間、ポケモン達は改めて顔合わせ兼挨拶をする為ボールから出してもらっていた。
『はい、じゃあサトシ達の厚意により新しい旅仲間が増えましたー!』
仕切るのはやはりピカチュウで、黒と銀のポケモンに向けて小さな手を広げた。
すると、いらっしゃいだのよろしくだの歓迎の言葉や、わーきゃーと歓声が上がる。
こういったことに慣れてなさそうなグラエナは引き攣りながらもよろしくと声を絞り出し、エアームドに至っては小さく頭を下げただけだった。
そして3人の手持ち達も自己紹介を済ませたら、後は専ら自由時間だ。
ピカチュウは辺りを見渡して、カラフルな軍団の中に新入りの姿を見つけた。グラエナは礼儀正しいムクホークと挨拶を交わしていて、エアームドはフカマルに齧られそうになっている。ニューフェイスと親睦を深めている彼らに断りを入れて、ピカチュウは彼らを喧騒から離れた場所へと連れてきた。
『…えっと?』
『あぁ、急にごめんね。ちょっと聞きたいことがあって』
首を傾げたグラエナに、あくまで笑顔で答えると、早速本題を切り出した。
『さっきサトシに誘われたとき、君達のトレーナーの様子が変だったなって。先に答えたのも君達だったし』
それだけ言えば、僅かにグラエナの瞳が細くなった。エアームドは淡々とした目で真っ直ぐに見つめ返す。
『カイトは余り自分の欲を出さぬのだ。加えて誰かの手を煩わせることを極端に嫌う』
『そういうこった。カイトが本当にお前のトレーナーと一緒に行きたいと思ってても、俺らが言わなきゃ間違いなく断ってただろうよ』
少し言葉ったらずなエアームドの後をグラエナが継ぐ。口の端に浮かべた笑みはトレーナーに対する情愛の深さを思わせて、ピカチュウはそれがサトシと自分に重なって見えた。
『それに、あいつ危なっかしいだろ?お前んとこみたいにしっかりした奴が一緒にいてくれた方が、こっちも安心ってもんだ』
茶目っ気たっぷりに笑って見せた彼につられて、ついついピカチュウも笑顔を零した。
『サトシもタケシも、面倒見がいいからね。…ごめんね、変なこと聞いて』
『いいや、気にすんな』
「おーいピカチュウー!そろそろ出発するぞー!」
遠くから聞こえたトレーナーの声に、ポケモン達は一斉に駆け寄っていった。
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桜光 - ピカチュウ・・・が崩壊してる(;・д・) (2018年12月28日 21時) (レス) id: c1c7fb77d9 (このIDを非表示/違反報告)
こうもり(プロフ) - さん» 謎を作ってしまい本当にすみませんっ!ずっとミスしたままになるところだったので、とても助かりました!そう言っていただけてとても嬉しいです、ありがとうございます! (2017年1月10日 15時) (レス) id: 2edc5e6d88 (このIDを非表示/違反報告)
- それに、よくある作品のように話の内容もぶっ飛んでなくてしっかりしてるし、文章も上手のようなので……とても好きです!これからも頑張ってください。((突然すみませんでした。 (2017年1月10日 13時) (レス) id: 3c17733505 (このIDを非表示/違反報告)
- あ、いやいや目に余るなんて……貴方の作品は凄いと思っています!そういうことだったんですね。謎が判明して良かったです。 (2017年1月10日 13時) (レス) id: 3c17733505 (このIDを非表示/違反報告)
こうもり(プロフ) - さん» 私も時折見返して変換ミスがないか確認していますが、それでも見落としてしまうことがあります。目に余るようでしたら、何話目にミスがあるのか教えてくださると嬉しいです!出来る限り早く対処させていただきます。ご迷惑をおかけしてすみません。長文失礼致しました。 (2017年1月10日 12時) (レス) id: 2edc5e6d88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こうもり | 作成日時:2016年7月18日 7時