1:出会いは森の中で ▼ ページ2
「んーっ、何かのんびりしてるなあ」
「ピーカチュ」
うーんと伸びをした少年の肩の上で、黄色く小さな生き物がリラックスしたように鳴いた。少年が笑って頬を擽れば、きゃいきゃいと嬉しそうに尻尾を振る。
「グランドフェスティバルにシンオウリーグと、今まで根詰めてきたんだ。少しぐらいゆっくりするのもいいと思うぞ」
「そうそう!ゆっくりのんびりも大切よ!」
後ろを歩いていた旅仲間に言われて、帽子を被った少年…サトシはそれもそうかと表情を明るくした。
シンオウリーグを無事に終えて、サトシ、タケシ、ヒカリはのんびりと旅をしていた。
今まではコンテストに向けて町から町へ回ったり、ジム戦を待ちきれないサトシが急いだり、何故かしょっちゅうトラブルに巻き込まれたりでゆっくりと旅することは少なかった。その気楽な歩調に慣れずにいたサトシだったが、仲間もポケモン達もこれはこれで楽しんでいるようで、次第に彼自身も馴染んでいっている。
「お、あそこに川があるぞ」
タケシの声に、森の中の緩やかな小道を歩いていた一行が歩みを止める。
彼が向く方をみると、澄んだ流れの小川が心地良い水音を立てている。そこは少し木々も開け、平らな原っぱになっていた。
「ここを過ぎるとしばらく川はなさそうだ。休憩がてら、お昼ご飯にしよう」
「よし、じゃあ特訓でもするか!」
「のんびりって言った側からこれなんだから…」
「そういうヒカリこそ、コンテストの練習するつもりだったんだろう?」
「あはは、バレちゃった?」
ヒカリがタケシの指摘に照れ笑いを溢すのを見て、ピカチュウが楽しそうに目を輝かせる。
「2人とも熱心なのはいいが、準備を手伝ってからにしてくれよ」
「「はーい!」」
丁度お腹も空いてきたところだったので、サトシもヒカリも早くタケシのご飯を食べたかった。
元気の良い返事に頷いたタケシから水汲みの役割を与えられたサトシは、早速ピカチュウと水際まで駆けていく。
「今日の昼飯は何だろうなぁ」
「ピィ〜カ?」
清流に口を付けて喉を潤していたピカチュウが、顔を上げて小首を傾げる。
サトシは相棒に倣って水を口にすると、俺オムライス食べたいなー、と呟いた。
「…ん?どうした、ピカチュウ?」
先程まで『ケチャップ!』と言うように笑っていたピカチュウの様子が、ふいに変わった。ピンと尻尾を立てて、不安気な面持ちでしきりに辺りを見回している。
「何かいるのか?」
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桜光 - ピカチュウ・・・が崩壊してる(;・д・) (2018年12月28日 21時) (レス) id: c1c7fb77d9 (このIDを非表示/違反報告)
こうもり(プロフ) - さん» 謎を作ってしまい本当にすみませんっ!ずっとミスしたままになるところだったので、とても助かりました!そう言っていただけてとても嬉しいです、ありがとうございます! (2017年1月10日 15時) (レス) id: 2edc5e6d88 (このIDを非表示/違反報告)
- それに、よくある作品のように話の内容もぶっ飛んでなくてしっかりしてるし、文章も上手のようなので……とても好きです!これからも頑張ってください。((突然すみませんでした。 (2017年1月10日 13時) (レス) id: 3c17733505 (このIDを非表示/違反報告)
- あ、いやいや目に余るなんて……貴方の作品は凄いと思っています!そういうことだったんですね。謎が判明して良かったです。 (2017年1月10日 13時) (レス) id: 3c17733505 (このIDを非表示/違反報告)
こうもり(プロフ) - さん» 私も時折見返して変換ミスがないか確認していますが、それでも見落としてしまうことがあります。目に余るようでしたら、何話目にミスがあるのか教えてくださると嬉しいです!出来る限り早く対処させていただきます。ご迷惑をおかけしてすみません。長文失礼致しました。 (2017年1月10日 12時) (レス) id: 2edc5e6d88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こうもり | 作成日時:2016年7月18日 7時