306：不安は現実となる ページ10
そう告げたのは、サトシらしからぬ静かな声だった。
だが、Aが何か言おうとしたとき…それは後ろから聞こえてきた声に封じられた。
「…っいた！ねえ！そこの君達っ、ちょっと待って！！」
サトシ達4人が振り返ると、女性が一人、走って自分達を追いかけていた。パンツスーツを着こなした女性はサトシ達に追いつき、しばらく肩で息をしていたが、やがて勢いよく顔を上げるとAを強い瞳で見た。
「あなたよね？さっきの舞台で姫役を演じてたのって。あぁ、サクラビスが人間の姿になったときの」
「…はい、そうですけど」
「良かった…。劇団の人に聞いたら『あの子は代役で、もう劇場を出た』って言われたから、急いで探したのよ」
この女性はAを探してあちこち走り回っていたらしい。
それにしてもどうして自分を？とAが首を傾げていると、彼女の口から思いもよらない言葉が飛び出した。
「単刀直入に言うわ。あなた、私のところで歌手にならない？」
Aは驚きのあまり口をぽかんと開け、なにも言うことができない。
サトシ、タケシ、ヒカリも目を丸くして女性を見ていた。
「まだ言ってなかったわね。私、こんな仕事をしているの」
ほぼ放心状態にあるAの手に乗せられたのは一枚の名刺。
『タレント事務所 リシアン 代表取締役 ナナミ』
「事務所って言ってもまだ始めたばかりで、誰も所属していないけどね」
あなたの歌を聞いたとき、衝撃を受けたわ。
こんな歌を歌える子がいるのか、って。
それと同時に、あなたの歌はたくさんの人に聞いてもらうべきだって。そして、それが私の使命だ…ってね。
「ちょっと大袈裟に聞こえるかもしれないけど、全部本音よ。どう？やってみたいと思わない？」
「……あの、そう言ってくださるのは、嬉しいんですけど…。私…、そんな急にお返事は…」
「まあ確かにそうよね。んー…私、明日いっぱいはこの街にいるつもりだから。それまでに答えを出してもらえればいいわ」
良い返事を期待してるわね。
そう言い残して、ナナミはAの前から立ち去った。
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こうもり(プロフ) - 時間の止まったリスさん» ご感想ありがとうございます！DPはリメイクもされたのでおすすめです！パートナーとの冒険はすごく楽しいですよー！ (2022年4月30日 21時) (
レス) id: 9309100d6a (このIDを非表示/違反報告)
時間の止まったリス - これを機にポケモン始めようかな、なんて思いました(めちゃ時代遅れですね)。リスはピカチュウとポッチャマ時代で止まってますので。へへ (2022年4月26日 10時) (レス) id: d39a98933d (このIDを非表示/違反報告)
こうもり(プロフ) - 緑茶さん» こちらこそコメントありがとうございます！DPいいですよね…！！長いお話を読んでくださっただけでなく感想までいただけてすごく嬉しいです、ありがとうございます！ (2020年7月31日 20時) (レス) id: a41badf38a (このIDを非表示/違反報告)
緑茶(プロフ) - たまたま見つけて気付いたら全て読んでいました。DP私も好きなのでとても面白かったです。自分の夢に向かって歩き出す彼らを見ていたら涙が止まりません。素晴らしい物語をありがとうございます！ (2020年7月31日 1時) (レス) id: ab02c22683 (このIDを非表示/違反報告)
こうもり(プロフ) - moekaさん» コメントありがとうございます！最後のページに一覧を載せておきました！ (2020年2月22日 6時) (レス) id: a41badf38a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こうもり | 作成日時：2017年1月1日 20時
