君が僕の希望だから 7

311：さよならの代わりに ▼ ページ15

「ナナミさんっ！」


翌日、街中ナナミを探し回り、ようやく彼女を見つけたのは街に一つだけあるヘリポートだった。
すでにエンジンがかかり、回転する羽がコンクリートの地面に風を巻き起こしている。


「来てくれたのね！…それで、あなたの返事は？」


髪を強風に靡かせながら、ナナミはAの顔を見つめる。Aは強い光を瞳に宿して言った。


「…私、やってみたいです」
「そう。でもそうするのなら、この子達との旅は続けられないわよ？」


ナナミがサトシ達に視線を走らせながら言う。

だが、もうAの決意が揺らぐことはない。
Aが後ろを振り返ると、サトシもヒカリもタケシも、しっかりと頷いてくれた。


「はい。私を、連れていってください」
「…そう言ってくれて嬉しいわ！一緒に頑張りましょう！」


ナナミは心底嬉しそうに言うと、Aの手をぎゅっと握った。


「そうと決まれば、善は急げよ。早速行動を起こさないと。…その前に、お別れの時間ね」


ナナミは、くいと顎でヘリコプターの方を指す。
直前に迫った出発を示唆すると、Aをサトシ達の方へそっと押し出した。


「頑張れよ、A」
「一緒に旅出来てすっごく楽しかったわ！寂しくなっちゃうけど…ずっと応援してるからね！」


タケシはAの頭を撫で、ナナミに「よろしくお願いします」と会釈をした。ヒカリは眩しい笑顔を見せると、うるりと揺れた瞳を隠すようにしてきつくAを抱きしめた。

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