Story.11 ページ12
「...気色悪い」
思わず漏れた声だったが、目の前のアーロニーロ・アルルエリを見て再度同じことを思った。
機械の様に単調な声。そして、顔と呼べる顔がない代わりに、頭部にはガラスの試験管のような容れ物。その中には二つの仮面がプカプカ浮かび、気色の悪い笑を浮かべていた。
どうしてこう、藍染の作る低級の虚には気色の悪いものが多いのか。
メタスタシアで大概だったから勘弁してくれよ。
ビーカーも試験官も薬品もマユリさん達の隊舎を思い出すから大いに嫌だ...と歪めた表情に気付かぬほど敵も馬鹿でもないようだ。
「僕ラコノ顔ノ感想ナラ、トウノ昔ニ聞キ飽キテル。
心配スルナ、コノ記憶モ肉体モ海燕ソノモノダ。
ソレヲ僕ラガ読ミトッテ動イテイタダケノコト。」
「...いや、アンタが海燕さんじゃないって分かっただけでも大収穫さ。ルキア、奴を倒すよ。
...ルキア?」
隣に立って剣を抜いているルキアの方を見ると、カタカタと剣を持つ手が震えており、顔が強ばっている。
...考えてみれば当然かもしれない。海燕さんが死んだあの夜、見ていた私よりも刺殺した本人のルキアの方が心に深い傷を負っている。
そのルキアの前に、海燕さんの記憶を読んだアーロニーロは狙って出てきて傷口に塩を塗り抉ったのだ。
「貴様、私がここに来る前にルキアに何を言った」
「海燕ノ記憶ヲ読ミトッテ僕ラガ思ッタコトサ。
朽木二殺サレタノダカラ海燕ガ朽木ヲ恨ンデイテモ当然ダロウ。
コノ体ハ海燕ノ姿デ戻ッテキタ虚ヲ喰クラッテ手二入レタ。
オマエ、サッキ僕ラノコトヲ“メタスタシア”ト呼ンダネ。半分アタリデ半分ハズレダ。
メタスタシアも今ヤ僕らの一部二過ギナイ。
今まで喰らった虚の数は三万三千六百五十!!
喰いつくせ“
そう言い刀を抜いたやつの姿が見る見る変わっていく。
次の瞬間、目の前にあったのはタコのような馬鹿でかい塊と偉そうに叫び散らす海燕さんの上半身。
「聞いてないのによく喋るタコだ。そりゃあルキアの心も折れるな。
飢餓王、喰虚だってよ。お前のことじゃん。
喰らう相手ぐらい見極めないとお腹壊すよって教えてあげなよ。」
『黙れ、あんなグロテスクな奴と俺を一緒にすんじゃねーよテメェ。後で絶対殺す。』
「上等。取り敢えず、今日のお前の夕飯は目の前のタコだから」
『随分と豪勢だなぁ、オイ』
さあ、反撃開始だ。
482人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
近藤。(プロフ) - 明里香さん» 色々教えていただいてありがとうございます。ただ、昔の作品は誤字脱字含めて更新予定ないのでここから先教えて頂かなくて大丈夫です。(今まで教えて貰った箇所は折を見て可能なら修正します。時間が無いので直せなかったらすみません) (7月29日 9時) (レス) id: f8f1e234ce (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 21話、俊光じゃなくて、瞬鬨です。 (7月28日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 20話、俊光じゃなくて、瞬鬨です。 (7月28日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 19話、俊光じゃなくて、瞬鬨です。 (7月28日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 17話、俊光じゃなくて、瞬鬨です。3箇所あります。 (7月28日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:近藤。 | 作成日時:2017年11月11日 13時