Story.10 ページ11
溢れ出ている涙を服の袖で拭った。
涙が引くまでは、困ったような顔で暫く私の頭を撫でていた海燕さんだったが、気づけばもう一つ何処からか座布団を引っ張り出して、私に座るよう促している。
薄暗い部屋の中、抜く刀も持っていない私だったが、少しだけ海燕さんを警戒しながらそこに座る。
その後少しの間海燕さんとルキアと3人で色々会話してみた。
声も顔も性格も、探った霊圧すら海燕さんにしか感じられなかったが、拭いきれない違和感があった。
例えるならば
___藍染の幻覚を初めて見た時と同じような。
そこまで考えて、ハッとした。
「飢餓王、刀ないと霊圧吸うのは流石に無理だよね」
『ああ、無理だ』
「なら仕方が無いな...ルキア、下がって」
「え?」
私は床から立ち上がり、座っている海燕さんとの間合いを詰め拳を向けた。
すると何の迷いもなく彼は刀を抜き私に向ける。
「おいおい...何のつもりだ、宮本」
苦笑いしながらも海燕さんの目は笑っていない。
そして確信した、目の前のコイツは海燕さんではない、と。
「アンタ、誰。必死に海燕さんに化けてるみたいだけど記憶までは偽装出来てないみたいだね。」
「何言ってんだオマエ...」
「海燕さんなら...部下の拳には拳で答えてくれるんだよ。殴りかかったくらいじゃあ刀は抜かない。
私に首斬られたことトラウマになってんの?すごい反応速度だね。...メタスタシア。」
「それは...」
「陽の光が苦手って言ったっけ?馬鹿いっちゃいけない。
何回も陽の下昼寝しながら一緒に仕事サボったじゃあないですか、海燕さん?
私は忘れていませんよ。メタスタシアが活動するのは夜間だったことも、人格や身体を乗っ取る能力を持っていたこともね。」
そこまで私が話したところで、ボソッと海燕さんが何かを呟いた。変わっていく彼の剣の形を見て解号だったことに気づく。
「ルキア、海燕さんの格好されてたら戦いにくい。奴に陽の光を当てる。壁、ぶっ壊せ。」
私が合図をするや否や、私と同じことを考えていたらしいルキアが蒼火墜で壁に大きな穴を開けた。
陽の光が当たった奴の姿がみるみる変わっていく。
「流石、感ガイイ。藍染サマガ欲シガル訳ダ。
改メテ挨拶シヨウ。破面No.9、アーロニーロ・アルルエリ。」
そう言った奴には、顔と呼べる顔が無かった。
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近藤。(プロフ) - 明里香さん» 色々教えていただいてありがとうございます。ただ、昔の作品は誤字脱字含めて更新予定ないのでここから先教えて頂かなくて大丈夫です。(今まで教えて貰った箇所は折を見て可能なら修正します。時間が無いので直せなかったらすみません) (7月29日 9時) (レス) id: f8f1e234ce (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 21話、俊光じゃなくて、瞬鬨です。 (7月28日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 20話、俊光じゃなくて、瞬鬨です。 (7月28日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 19話、俊光じゃなくて、瞬鬨です。 (7月28日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 17話、俊光じゃなくて、瞬鬨です。3箇所あります。 (7月28日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:近藤。 | 作成日時:2017年11月11日 13時