君の心を奪いたい。【あんスタ】

give me your hart! ページ28

｢…わ、わりぃ…｣


｢いいよ、気にしないで｣




私の目の前の椅子に腰掛けるのは、UNDEADのメンバー 大神晃牙くん、基(もとい)わんこくん。目薬を手にした彼は、らしくなくしゅんと落ち込んでいる。




彼は1人で目薬がさせないらしい(極秘情報)



小さく舌打ちして顔を顰めていたところに声をかけたら、目薬をさしてくれないかと頼まれて今に至る。



え、なに目薬が差せない大神晃牙(17)って？？可愛くない？？




｢つぅか目薬が嫌いなんだよ俺様は！あの迫ってくる感じが嫌で仕方ねぇんだよ！！｣


｢目薬私も一人でさせないからね、わかるよその気持ち

ちなみになんで目薬？｣


｢花粉飛んでんだろ、目が痒ぃんだよ｣


｢なるほど｣




そうだった君は花粉症だったね、重症さは真緒くんと並ぶツートップだったわ。最近あってなかったからすっかり忘れてたよ。




｢まあ、そんな話は置いといて〜…いきます！｣


｢っ！！｣





こちらを見上げる蜂蜜色をした瞳に、一滴ずつ目薬を垂らす。ぴちゃ、と垂らされたのに伴って、わんこくんの肩がビクリと震える。

ぎゅっと眉間に皺を寄せる彼になんだか罪悪感を抱きながら、私は目薬の蓋を閉めた。





｢はい、いいよわんこくん。ぱちぱちしてね｣


｢は？ぱちぱち…？｣





そしてこの行動が衝撃の事態へと事を進めることとなる。







目薬をさしたばかりで目を瞑ったままのわんこくん。私が言った意味が分からなかったのか、こてんと首を傾げる。

しばらく間を置いたあと、何故か彼は両手をばちぱちと叩いた。






もう一度言う。両手を、ぱちぱち、叩いた。






｢…？？｣


｢あぁ？ぱちぱちしたけどよ、これになんの意味があるってんだ？｣





いやあの、違う。私が言ったぱちぱちっていうのは、目を瞬きすることなんだよ。


確かに君がやったこともぱちぱちで間違いない、間違いないよ？？でもさ、今このタイミングでなんで手を叩くことを要請されると思ったの？？

ぱちぱちって言うわんこくん可愛くない？？？ギャップが過ぎない！？





｢う…っ！！｣


｢はぁ！？A！？｣









わんこくんのギャップにやられて私は思わず心臓辺りの服を握りしめて蹲る。突然の行動に驚いたわんこくんは、慌てて私の元に駆け寄る。




慌てに慌てまくったわんこくんはES内で大騒ぎし、私は死ぬほど心配されたが何度聞かれても原因は決して言わなかった。




＿＿＿

(言ったら何かを失う気がする)

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