君の心を奪いたい。【あんスタ】

give me your hart! ページ29

｢Aさんのモノマネします｣


｢え、なにいきなり｣


｢『きゃ…っ、だ、だめだってば渉く、こんなところで…っ！』｣


｢判断しにくいモノマネだね！！！！！｣


｢ノン！！音源がないから似ているかどうか判断しかねるのだよ、出直したまえ｣


｢割とガチな審査員だね宗くん……｣








レッスン室。集まったのは私と五奇人という何とも異様なメンツ。ちなみに一緒にいるけど私は断じて奇人では無いことを頭の隅に置いておいて欲しい。


久々のオフで時間があった私はES内のカフェでのんびりしていたのだが。


天上から逆さまに渉くんが満面の笑みで登場、びっくりしすぎて叫ぶところを笑顔の奏汰くんに口を押えられ抱えられ、いつの間にか現れた零くんがサラッとスマートにお会計を済ませて。


状況が読み込めずポカンとしている間に、私は3人に連れ去られたのである。




何事かと聞けば自主レッスンがしたいとか何とかで。どうやら私に見ていて欲しいのだと彼らは言う。







｢それにしてもよくこんなにスムーズにAを連れて来れたね、もっと時間がかかるものだと思っていたのだよ｣


｢Aのことだカラ、叫んで喚いテそれどころじゃなイんじゃないかっテ思ってたよ｣


｢夏目くんそれどういうこと？？｣


｢ふふふ…☆案外簡単に拐えましたよ！連携プレーの賜物でしょうねぇ！！｣


｢もっと別のことにそれ発揮しようよ……｣







やれやれと私はため息をついて首をすくめる。

困ったもんだなぁと遠い目で明後日を見ていた時、横でバァンと大きな音を立てて、誰かが机を叩いた音が聞こえる。


いや、あの……誰かっていうか、隣に座ってる人…零くんなんですけど……





恐る恐る彼を横目で見れば、彼は虚無の目で私をガン見していた。真っ赤な真紅の瞳が私を容赦なく射抜く。


じろりと見られるその感覚に私は少しだけムッとして零くんを睨む。







｢ちょっとなに零くん、机叩いたら壊れるかもしんないでしょ｣


｢Aは零にいさんのことなんだト思っテるノ？｣


｢さっきの日々樹くんの……モノマネ……｣


｢は？｣


｢どういうことなんじゃ！！？｣


｢何が！！！？｣

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