【黒バス】赤司家のお嫁さん。

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カチコチ、カチコチ





広い部屋の空間では

時計の針の音だけが寂しく響いて






虚しくも、残酷にも

時を刻んでいた





.




ダイニングテーブルには

今日の夕飯にと作った夕食が並べられている



最近寒くなってきたから

シチューを作った






征くんは今日こそ早く帰って来てくれる


そんな淡い期待を胸に抱きながらご飯を作る






けど、征くんはやっぱり

今日も帰ってこないんだ





暖かかったシチューはきっともう冷えているに違いない




.




私はリビングの方にあるもう一つの

テーブルの床に敷いてあるカーペットに座って



昔、2人でいっぱい撮った写真が入ったアルバムをみていた





「ふふ、なつかしいなぁ」


この中には私たちの思い出が沢山詰まっている




.




征くんにバレないように

友達がこっそり撮ってきて私の誕生日にくれた写真


高校時代のバスケをしている征くん

制服姿の今よりちょっと幼なさが残る征くん



付き合いたての私たち

2人で無事に合格した大学での写真







そして、部屋に飾ってある白い衣装に身を包んだ私たち




1枚1枚が私の愛しい大切な宝物だ




.




ぽた、ぽた

と、涙が頬をこぼれ落ちる



「…征くん。…わたし、もう…だめかもしれないよ…っ」






征くんとの思い出が愛しいから

大好きでしょうがないから





こんなにも、苦しくて切ない



痛くて、痛くて

胸がキリキリして張り裂けそうなんだ




.




きっとあの頃には

どう足掻いたってもとには戻れない






1度ずれてしまった夫婦の溝は

もう戻せない

40…黄side→←38...赤side

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