アサガオの花言葉 20 ページ20
休息や食料調達、給油など。
その都度戦艦が傾き陸へ上がるべく羽を休めた回数は沢山あった。
しかし、その間には私は晋助の部屋で一人太陽を眺めるだけ。
閉じ込められている感覚はなかったが、外に一歩も出させてくれなかった彼が唐突に言ったその一言に。
吃驚したのは言うまでもない。
「江戸だ…」
そして連れてこられたのは、この時代に一番栄えている場所である。
近未来を感じさせる店がズラリと並んでいる。
図体も態度もでかい天人達が私をジロジロ見ているような気がして、思わず晋助の背中に隠れる。
晋助の元に来るまで確かに江戸にいた私だったが、随分長い間守られていたせいか警戒心が衰えてしまっていたようだ。
鋭い目付きに体が勝手に怯む。
「どうした。久しぶりに御天道様浴びてクラッときちまったか」
腰に刀をぶら下げた晋助が私に声をかける。
キュッと着物の袖を掴むと、彼は鼻を鳴らし笑った。
「ッフ、くっついて歩いてろ。離れるんじゃねぇぞ」
いつになく優しい晋助。
側近もいないのに勝手に二人で出てきてしまったけど、大丈夫かしら。
そんな私の心配を他所に晋助はサッサと歩き出した。
私がいたのは路地裏やジメッとした陰気臭い場所だった。
こんな煌びやかな江戸を歩くほど大層な服装をしていなければ、髪も匂いも最悪だったあの頃。
今こうして江戸の街を自分が歩いているのが不自然に思えてしまうくらい、浮き足立ってしまっていた。
沢山のお店、人、明るい笑い声。
全ての空間が幸せに満ちているように感じる。
「何か食いたいもんねぇのか」
「…へ?」
「甘味所に寄ってみるか」
すると、晋助の手が私の手に触れた。
そしてキュッと優しく握られる。
指を絡められてビックリしていると、構わず晋助は甘味所へ足を進めた。
縁台に腰を下ろすと私も隣に座るように目で制される。
慌てて晋助と肩を並べると、ササッと団子を注文した晋助は出されたお茶を啜って大きく欠伸をした。
「どうして連れてきてくれたの?」
「俺がそばにいれる日にゃ、Aに自由を与えてぇからな」
昔、お父さんが言っていた。
不自由こそ本当の自由だって。
こうして私を晋助が守ってくれるから、私は自由なのかもしれない。
暫くして運ばれてきた団子に目を輝かせてしまう。
差し出された串を手に取り頬張ると、甘くて優しい味が口いっぱいに広がった。
「詰まらせねぇように噛めよ」
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お茶(プロフ) - チノちゃんさん» ひゃぁぁありがとうございますうう泣 (2020年7月20日 1時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
チノちゃん(プロフ) - 凄く良かったよぉぉぉぉお (2020年7月20日 1時) (レス) id: 5e7e485832 (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - きょこさん» わぁぁありがとうございました泣泣 本当に嬉しいです、、、!! (2020年6月28日 20時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
きょこ - 高杉〜!!!かっこよすぎる!おもしろかったです。もっともっと読みたい…キュンキュンしまくりでした。ありがとう^_^ (2020年6月28日 17時) (レス) id: 5129d38d73 (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - みきゃんさん» 了解しました!この作品の番外編をいずれ作ろうと思いますm(_ _)m (2020年6月19日 18時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:お茶 | 作成日時:2020年3月6日 13時