Call My Name ！ Ⅱ (ページ40)

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　桜はそう言った。好き？恋？………私が？
　だって私はボクシング以外出来ないんだよ？ものだってちゃんと上手く話せないし、嫌われ者だよ？なのに。

「なんで、私＿＿黄瀬を好きになってるの。どうして………私が」

「でもキスされて、嬉しかったんでしょ？」

「…………………」

「朱ちゃんが認められなくても、答えはもう朱ちゃんの中にあるんだと思うよ。」

「え？」

　桜は私のマグカップの隣に自分のコーヒーを引き寄せながら言う。

「固定概念とか、朱ちゃんが色々難しく考えすぎちゃうから気づけないだけで、きっかけさえあれば自然と答えも見つかるよ。

　恋って、理屈じゃないから」

「…………ッ」

　"恋は理屈じゃない"

　その言葉が、すとんと胸に落ちる。
　じゃあ、私は＿＿＿＿＿。

　桜はけらり、と笑って言う。

「思い悩んだってドツボにハマるだけだし、もっと気楽にしてたらいいんじゃない？」

「……………ん。ありがとう、桜」

　……＿＿＿私は、黄瀬が好きなんだ。これが恋かはわからないけど、好きには変わりないんだ。

　私は自分のコーヒーを手にとって、飲んだ。喉を通るコーヒーはすっかり温くなっていた。