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＊
「キスってあんた、まだ付き合えてもないのに！？」
「…………うっす」
「か〜〜ほんっとデルモっていや。軽い。ていうか羨まし〜〜〜〜私だって笠松くんとしたい〜〜〜〜！！！！」
そう言って桜センパイは地団駄し始める。笠松センパイとのくだりはさておき、軽いと言われても否めないのが辛い所だ。桜センパイは立て続けに聞いてくる。
「ハッ、まさかあんた、嫌がる朱ちゃんを押さえつけて無理やりきっ、キスしたんじゃないでしょうね！？」
「そうじゃないすよ！その…寝込みを衝動的に………というか出来るわけないじゃないすか、そんなことしたらさすがに朱センパイ実力行使するだろうし………」
「だよね〜………でもそっか、しちゃったのか…………しょうがないなあ。まあ私は優しいから？相談乗ってあげないことも無いけど」
「いや、相談なんてないす」
「うんうん、相談なんて別にねえ………ん？」
◇ ◇ ◇
主将会議終わり、喉が渇いた私は笠松くんと別れて自販機に行った。その帰りにたまたま下駄箱のところではぁ、と溜息づく黄瀬くんを見つけたから声を掛けた。
なんでも、朱ちゃんにキスをしてしまったらしい。柄にもなく考えてるから少しアドバイスしてあげようとしたけど、帰って来た言葉は「相談なんてない」、だった。目に見えて落ち込んでるくせに相談はないって？
頭がはてなマークでいっぱいになってると黄瀬くんは靴に手を伸ばしながら語り始めた。
「…………俺ね、朱センパイが好きだ。けどそれは付き合いたいとかじゃなくて…………いや、もちろん付き合えたら嬉しいとは思ってるけど………そんなに関係急いでないんす。
付き纏ってるだけでも、少ないけど話してる時だけでも、朱センパイと繋がっていられたらそれでいいって、幸せだってずっと思ってました」
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作者名：O | 作成日時：2021年10月29日 16時
