Call My Name ！ Ⅱ (ページ14)

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　＊

「ふぁあ、…………」

　黄瀬は体育館の大きく欠伸した。無理もない。

【「で、あるからして……………………」】

　……………今日は球技大会、その始業式。長ったらしい校長の話。やるならとっとと始めればいいのに何をそんなに話すことがあるのやら。

　まあ、こんな事を前にいる笠松センパイに言ったら確実に蹴られるのだろうが。

　それより早く終わんねーかな、とっととやってとっとと勝ってとっととこの少しキツいバレーのユニフォーム脱ぎたいっす…………………

　そんな黄瀬の願いが通じたのか、校長は挨拶もそこそこに話を切り上げた。司会の生徒がマイク越しに言う。

【「校長先生の式辞でした。続いては応援団の激励です」】

「…………！」

　応援団、という言葉に微睡んでいた意識が現実に引き戻す。それと同時に学ラン軍団が壇上に上がる。その先頭には＿＿＿朱センパイ。

　ざわり、周りが少し騒がしくなる。それもそのはず。屈強で凛々しい顔をした軍団を従えている、身体より一回り大きい学ランを見事に着こなした銀髪で美しい女子。

　颯爽と、堂々と歩くその様はまるでモデルの祭典、パリコレを彷彿させた。

　軍団が全員壇上に上がると、その美しい女子は前に出て、大きく息を吸った。

「静粛にいいいいいいい！！！！！」

「「「「！！」」」」

　朱センパイの怒声にざわついてた周りが静まり返る。マイクを使ってないと言うのに体育館中にその声が響き渡る。センパイはそれを見計らって言葉を続ける。

「応援団長を務めるのはこの鷹村朱だ！！わかったら耳かっぽじって応援を受けろ！わかったな？！！」

「「「「押忍！！」」」」

　軍団が返事をする。何が押忍なんだ…………？

　＿＿＿この後、よくある応援コールが行われた。朱は完璧に部活モードの喋り方、見た目を損なわせる大きな怒声で1年…………というか体育館中の人間を震わせたのだった。
　

　ただ1人、黄瀬だけが「ひゅー♪かっけえ！」と拍手して笠松に蹴られたのはバスケ部だけしか知らない。