#62 ページ15
＊
応援団は何かとやることが多い。試合には出ないけど備品の準備もあるし、外からも見学者が来るということで悪くなる治安を見回りながら守ったり…………まあ言わば半ば雑用係みたいな側面がある。
けれど、応援団長は指示を出すことと応援団数人を連れてだけど自由に球技を見れるという役得があったりする。
例えば今もそう。
「えいっ！｣
テニスコート。女子バスケ部ＶＳ女子サッカー部のダブルス戦だ。1人だけ男子バスケ部のユニフォームを着てる故に凄い目立ってる桜。けど本当になんでもできるからそんなことお構い無しに点を稼いでる。
「っしゃ！桜ナイス！！頑張れえええええええ！！」
「ちょ！朱ちゃん恥ずかしいからやめて！？」
「桜ちゃん！試合中！！！！」
「前見ろ前見ろいてこませ〜！！」
「言われなくても…………やる、っつの！」
鋭い1発。喋りながら出来るんだから本当にすごい子である。そんなことを考えてるとこそ、と団員が話しかけてきた。
「先輩、そろそろ次の場所行かなきゃです」
「まだいいだろ」
「とか言ってもう10分居座ってます、なので行きますよ」
「…………………………わかった。
桜！！！頑張れよー！」
「うん！お昼に、ね！」
また大きなショット。それを見やりながら私はその場を後にした。
＊
「ふん」
「また渡辺がゴールしたぞ！」
さてさて次はサッカー。桜同様森山のユニフォームを着た絢が軽快にゴールを決めた。こちらも流石。
スポーツに関しては万能ならしい試合である。けどワンマン気味でチームと連携取れてないっぽい。
「絢ーーーー！！かっけーーーーぞーーーーー！！」
「…………………………」
あ、他人のフリされてる。あの清々しい無視はもはや絢の得意技である。でもちゃんと聞いてるのも知ってる。朱は大声で続けた。
「今日も！！！！お昼！！！！桜と弁当食べるからなーグラウンドで待ってるぞーーーー！！！」
「……………………………………」
私の言葉に返事をするようにゴールにボールを蹴り込んだ絢。さて、次はどこに行こうか……………………………
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：O | 作成日時：2021年10月29日 16時
