リアル・ヒーローショー

06　手がかり ページ7

「でも、少し驚いたな。
僕達以外にもたくさんのヒーローがいるなんて」

鉄也は通路の途中にあった扉を開きながら言う。

中は食堂になっていた。
テーブルクロスがかかった長い机を囲うように等間隔で椅子が並んでいる。

「そうだな。
ナーガのところなんて確か十二人いるんだろ？」

「大我のところもライダー同士である程度の協力関係にあるみたいだしね」

なんてことのない話をしながら、それぞれテーブルクロスの下を覗き込んだり厨房にある器具を調べる。

「凄いよな。
こっちはずっと一人で……ん？」

テーブルクロスを捲り上げた武士は、きらりと光る何かを見つけて手を伸ばす。
自分の手の中に収まってしまう程に小さなそれは、何かの破片のように見えた。

「武士、どうしたの？」

言葉が途切れたのが不思議だったのか鉄也がこちらに来て訊いてくる。

武士は先程拾ったものを見せた。

「見ろよ、これ」

「これは……鏡の破片？」

破片を覗き込んだ鉄也は呟く。

「あぁ、多分な。
手がかりなのは間違いないぜ」

武士は破片を握り込んだ。

☆☆☆

大我とナーガは小部屋にいた。

剣や槍、ライフルなどが所狭しと並べられ、足の踏み場が少ない場所だ。
恐らく、武器庫だろう。

「戦争でもしていたのだろうか」

武器達を見つめてナーガが言う。

武器が気になったのか、そうっと触ろうとしているナーガに大我は声をかけた。

「触るなよ。
かなり手入れされているみてぇだ。
うっかり刃に触れたら簡単に切れる」

それを聞いたナーガは伸ばしていた手を引っ込め、大我のほうを見た。

「何だ」

「ありがとう。
大我は優しいな」

「……下らねぇことで怪我されるのはごめんだっただけだ」

そう言って大我はナーガに背を向け、武器庫の奥へと入っていく。

と、爪先が何かに当たった。

屈んでそれを見ると、金属で出来た円形の鏡だった。
ただし、肝心のものを映す部分は一部が割れてしまっている。
随分と昔のもののはずなのに、錆びがほとんどついておらず、埃も被っていない。

「それは鏡か」

「あぁ。
少し鏡面は割れているがな」

大我はそう答えて鏡を脇に抱えた。

「持って行くのか」

ナーガが尋ねると、大我は頷く。

「この武器の山にこれがあるのはおかしいだろう。
……あいつらにも報告したいところだが、連絡手段がない」

「つまり、彼らに会うのは難しい」

苦々しい顔で最後の言葉を吐き出した大我の後をナーガが引き継いだ。

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