リアル・ヒーローショー

20　待ち人 ページ21

鷲尾健は小洒落たカフェで青年と共に待ち人を待っていた。

「おい、スティンガー。
何故俺達はわざわざ店の外で店のものを食っているんだ？」

「野外席だ。
こちらのほうが相手も見つけやすい」

「その割には、相手以外の者の注意を引きまくってるぞ」

それを聞いたスティンガーと呼ばれ青年は素早く視線を横に走らせる。
確かに自分達に周囲の視線が集まっている気がした。
思わず顔をしかめたスティンガーだったが、見知った相手に名前を呼ばれて意識をそちらへ向ける。

「すまない、待たせた」

「あれ、おっさんもいるじゃん」

そこには、ナーガと武士がいた。

四人がそれぞれ軽く自己紹介を済ませて、健がここに来るまでを簡単に説明したところで武士が口を開く。

「なるほどね。
ってことは、教授達は今頃少年達に会ってるってことか」

「鉄也達？」

健が不思議そうに訊いてきたので、武士は遺跡のことを簡単に話した。

「スティンガーはどうして健といるんだ？」

ナーガがスティンガーに問うと、スティンガーは目を伏せた。

「……少し、戦いの最中に異世界に飛ばされてな。
そこで知り合った仲だ」

どこも少しで片付けられる話ではなかったが、ナーガもスティンガーも別に気にしない。
むしろ話を聞いていた武士と健のほうが深刻に考えていそうだった。

「それでは、城二と合流するか」

健の提案に他の三人は頷いて席を立った。

聖都大学附属病院へ向かう途中、四人は一人で歩いている少女を見かけた。

武士とナーガは少女を見て驚く。

「どういうことだ……！？
あいつは俺達が倒したはずだ……！」

「倒し切れなかったのかもしれない。
だが、こにいるのはおかしい」

二人が困惑している間に、事態は動いた。

☆☆☆

緊急通報が入り、CRはニコと界道笑という少女の二人だけがいた。

「はぁ……何であんたの見張りしなきゃいけないんだろ」

「あんたっていうのやめてよ」

「笑うって書いてエミだっけ、これからはそう呼ぶね」

ニコは愚痴りつつも笑が変なことをしないかきちんと見張り続ける。

唐突に笑が口を開いた。

「仲間のこと心配なの？」

「そりゃまぁ、心配だよ。
皆強いのは分かってるんだけど、それでもやっぱりね。
笑は？」

「別に、どうでもいいことだから」

笑が素っ気なく答えるとニコはからかうように言った。

「素直じゃないなぁ」

「はぁ？」

突っかかってきた笑に、図星じゃん、と言いそうになったが、ニコは呑み込んだ。

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