第116話 好戦的 ページ26
その日の夜、夢の中。
「……丸焼き」
「ちょッ、やめッ、夢の中とはいえ有幻覚の火柱はまずいですから！！ やめてくださいクロームぅう！！」
本気で焦っていたので、焼きパイナッポーになる前に火柱を消す。
決戦前夜に訪ねてくるとか、非常識すぎると思う。
「す、すみませんでした…。君に伝えるべきことがあってこうして来たのです。僕らはすでに森に着き、待機しています。師匠の匣兵器によってね」
「！」
「沢田綱吉を助ける気はありませんが、白蘭に世界を取られるわけにはいかないので。折を見て戦闘をしている者と有幻覚とを入れ替えて、あちらの攻撃データを入手するつもりです。そこで…」
「嫌」
「さ、最後まで聞いてくださいよ！」
だって嫌な予感しかしないもの。
「クロームの匣兵器を持ってきて欲しいのですが…」
「……」
「わぁああ！？ 三叉槍を構えないでくださいッ！！ いつからそんなに好戦的になったんですか！？」
リング争奪戦の時みたいに、またいいとこどりするつもりなんでしょう。
それに、しっかり作戦に組み込まれている私が抜けるわけには…
明日の作戦を骸さんに伝えると、問題ないと返ってきた。
「真美がいるのでしたら心配は無用でしょう。師匠が真美の炎圧に耐えうるリングを渡しているようですし、そんなに心配だったら予定より早めに合流すればいい。という訳で、よろしく頼みましたよクローム」
「……わかった。過去の骸さんで憂さ晴らしすることにする」
「(ク、クフフ……どんまいです10年前の僕！)」
◇◇◇
ねぇねぇ、ユキちゃん以外の人の登場多くね？ もうすぐ終わりに近づいてきてるから？
【しーっ！！ メタ発言やめろッ！！】
「ユーキーさーまー！！ お待たせー！！」
『おかえり、ミドゥーザ』
にしし、と数時間前とは打って変わって調子を取り戻したミドゥーザ。
ふっ飛ばして正解だったみたいだ、いい顔をしてる。
白銀の光を放つ雪クラゲの上に乗るミドゥーザは、夜風にその金髪を浮かばせながら血翔を反抗期野郎に差し向ける。
「自ら無駄死にしに来るとは嘆かわしい。大人しく
「ふふん。かかってきなヨ！」
さぁて。どうするか。
バックステップで反抗期野郎と距離を取り、氷クナイをくるくる回す。
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作者名：霽月 | 作成日時：2019年5月9日 21時
