第117話 シンキングタイム ページ27
修羅開匣をしたことで、物理攻撃を防ぐドラゴンの鱗と他者の炎を吸収できる能力を得た奴は、それらに加えて雪の炎の第二の特性“消滅”を自在に操る。
そんな反抗期野郎の攻略方法は、なんだろうか。
【……手っ取り早いのは黒兎の“氷の目”を使えなくすることだな。だが、そのために近づきすぎると炎を吸収されちまう…】
私たちが“消滅”を扱えるようになれば話はまた変わってくるんだけど……今のところ、バトルスーツと一体化したアルジェ作の氷クナイが勝手に“消滅”してくれただけで、私自身の力は何も働いていない。
………………んっ？ いま、何か引っかかったな。
【そうか？ 何もおかしなところはなかったと思うが…】
『……ミドゥーザ、第二の特性は使えそうか？』
「いやー、まったくだネ！ そもそも僕、雷しか使わないし！」
反抗期野郎との戦闘もかれこれ半日以上過ぎている。
いい加減に決着をつけないと、明日に響く…
ガルルルッ！！
『ん？ ミニアルジェ……？』
木の上から肩に戻って来たミニアルジェが、私に向かって唸る。
匣兵器は喋れはしないものの、言語を理解する素振りがあり、その知能はただの動物より高い。
そんなミニアルジェが私に伝えようとしていることはなんだろうか。
「匣兵器ともども我が雪の炎で消えゆくがいい！！」
酷氷の炎で“造形”された槍に灯った“消滅”の炎が雪クラゲをかすめるも、重力を感じさせない動きで避ける。
「あっぶな！！ ナイス、雪クラゲ！！」
ふと、マグロにかけた言葉が頭をよぎる。
キミたちらしい戦い方をすればいい――――つまり、一人で戦うのではないのだから力を合わせてボンゴレファミリーらしく戦えばいいと言いたかったんだ。
【個々の力よりも、ファミリーが一丸となって戦うことでボンゴレは真価を発揮するからな】
『……』
「ちょっとユキ様、集中してよネ！！ “消滅”の炎は少しでもかすったらこの世とオサラバなんだからさッ！」
……私たちは、雪の者だ。
雪の者の有する炎は莫大だし、私もミドゥーザも一人であらゆることに対処することができる。
特に、戦闘に関してはそうだ。
一人の方が効率がいい。むしろ他人がいると邪魔だし、助けはまったくもって必要ない。
【結局、何が言いたいんだ……？】
私も現在進行形で考えてるんだ、ちょっとくらい付き合えって。
【はいはい、仕方ねーなぁ】
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作者名：霽月 | 作成日時：2019年5月9日 21時
