heartfelt X

# ページ45

「Aは俺の女だ。
Aを笑わせるのも
泣かせるのも全部俺だ。
俺らの愛邪魔すんじゃねーよ。
目障りなんだよ、殺すぞ。」






聖「うちの岳ちゃんは随分と物騒なこと言ってるな。Aちゃんのためならまじでやりかねないのが笑えないよね。」


『聖真くん、本当に笑えないよ。』


聖「冗談だよ。そんなことしたら岳とAちゃん離れ離れになっちゃうじゃん。利口なあいつがそんな選択するわけない。」





私と聖真くんは部屋の前の通路からみんなが犯人を捕まえてくれているのを見下ろしていた。





聖「岳はほんとキレると乱暴になって口悪くなるんだから。あの男も相手が悪かったな。あれ髪ハゲるぞ。」


『誰も怪我しなくて本当によかった。』


聖「あっさり捕まえちゃって拍子抜け。騎士は仕事なく、御役御免だ。」


『聖真くん、ありがとう。』


聖「いえいえ。Aちゃんも他のみんなも無事でなによりだよ。あ、本物の騎士の登場だ。」





階段を上がってきた4人。岳は私を見ると眉間に皺を寄せた。






岳「部屋いろって言ったろ！」


聖「まぁまぁ。大活躍だったね岳ちゃん。」


源「岳が興奮状態から抜け出せないんだけどAちゃん助けて。」


雅「これから俺らも全員警察行って事情聴取だって。腹減ったのに。」


梅「事情聴取と言うたらカツ丼やろ！ドラマのワンシーンを再現できるで！」


雅「おお！警察でカツ丼食えるなんて人生最初で最後のチャンスだな！」





カツ丼！と盛り上がるみんなに笑ってから岳に近づいた。彼は今だに鼻息荒く、たれ目が精一杯つり上がっている。






『どこも怪我してない？』


岳「大丈夫。」


『すごかったね。あっという間に犯人捕まえちゃった。』


岳「あいつキモいしうざいし、ムショぶち込んで正解だわ。」


『岳かっこよかった。すごくかっこよかったよ。ありがとう。』





ぎゅっと岳に抱きつくと岳も抱きしめ返してくれて、コツンとおでこがぶつかる。





岳「これからはまたなにも気にせず生活できる。もう怖い思いすることなんてないから。」


『うん。岳ありがとう。やっぱり岳は私のヒーローだ。』




雅「イチャイチャしてんじゃねーぞ。警察行くって言ってんだろ。」


源「俺パトカー乗るの夢だった！」


聖「初パトカーがヒーロー凱旋でよかったな。」


梅「2人とも行くでー。」


「『はーい！』」




ふふっと顔を見合わせてから、わいわいと階段を降りていったみんなを追った。

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