怨恨の館 ページ2
少女の言ったことを、あなたは理解できません。
「…ごしゅじんって…どういうこと?」
「貴方様は、この館の主人です。そして、私達の主様。」
少女の声はどこか落ち着く声でしたが、あなたは落ち着きません。
「…えっと、心当たりがないんだけど…」
「…記憶をなくされているのですね。」
少女はあなたを憐れみの目で見ます。記憶喪失ということなのか、とあなたは疑問を持ちました。
ですが、確かに自分のこと以外なにも覚えていません。少女が言うように、あなたは記憶喪失なのです。
「…君は、わたしの召使いさんってこと?」
「えぇ。私達は、貴方様のメイドでございます。…さぁどうぞ中へ、ご主人様。皆、貴方様を待っていますよ。」
少女は、「皆」と言いました。それは、少女以外にも人がいるということです。
あなたは自分のものらしい館に入りました。
赤い絨毯が敷かれていて、天井にはシャンデリア。きらきらとした内装で、まるで物語に出てくるお城のようでした。
「ご主人様がお帰りになるまで、私達5人は、毎日掃除を欠かしませんでした。いつかご主人様が帰ってくると信じて。」
少女は嬉しそうに言います。
きらきらとした館の中で、あなたは慣れない雰囲気に疲れを感じ始めます。
「ご主人様?…お疲れなのですか?」
少女は心配そうにあなたに問います。
「うん…ちょっと、なんだか、ね…」
「それはいけません。すぐお部屋にお連れします。」と少女はあなたを案内します。
歩いていると、あなたは半透明の何かを見つけます。うつむいて、なにかブツブツ言っているようです。
「…あれは、誰?」とあなたが聞くと、少女は答えます。
「…彼らは亡者、亡霊です。」
「え…?」
「あぁ、それも忘れてしまっているのですね。…ご主人様の所有するこの館は、『怨恨の館』と呼ばれています。…ここには、多くの亡霊が集まってくるのです。」
「そんな…ホラー映画みたいな…」
「ご安心ください。彼らはただそこにいるだけ。ご主人様に害が及ぶことはありません。」
少女はそう言って、怖がるあなたを落ち着かせます。
「…なんで、この館に集まってくるの?」とあなたが聞くと、少女は少し困った顔をします。
「さぁ…?それは私達にもわからないのです。申し訳ありません。」
そうこうしているうちに、少女は豪華な飾りが施された扉を開けました。
「……ここがご主人様のお部屋でございます。」
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てい(プロフ) - えある。さん» 自分でも、敬語忘れちゃうのいいなぁと思いながら書いてました。神作…!?凄い嬉しいです…! (2023年4月2日 22時) (レス) id: 715f75cf8f (このIDを非表示/違反報告)
えある。 - カーテシー、、、想像するとすっごいきれい、、、あと、、、作った甲斐がある、、、ます かわよ。 神作ありがとうございますっ! (2023年4月2日 22時) (レス) @page6 id: 9c1c96d73e (このIDを非表示/違反報告)
てい(プロフ) - ぺぽんさん» コメントありがとうございます…!そう言っていただけてとても嬉しいです。 (2023年3月21日 14時) (レス) id: 715f75cf8f (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - 凄く惹き込まれるお話で面白いですね、続きが気になります😳 (2023年3月21日 14時) (レス) @page3 id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
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