迷子 ページ4
アジトを出て走った。つぼみちゃんの制止の声なんて振り切って。
修哉君はどこにもいない。何かに欺いてるはずなんだけど……。
「あぁ……もう……!」
走った。がむしゃらに走った。
アジトを出てきてしまった以上自分にできることはコレしかないだろうから。
☆
どのくらい、走っただろうか。
元々体育が得意でない私はもうへとへとで動けなくなっていた。
夕日が沈む頃になっている。にも関わらずがむしゃらに走った結果は私を落胆させるには充分だった。
「嫌だなぁ……私もう17だよ……」
誰もいないのをいいことに呟く。見たことのない風景、見たことのない街、見たことのない場所。
迷子だ。もう紛れもなく。
公園のブランコに揺れながら今後の事を考えると頭が痛くなってきた。
あんなに威勢のいいこと言って無様だな……自分。
そう思うとちょっと口元が緩んでしまった。
「なーに一人で笑ったり呟いたりしてんの?」
「のぉ!?」
それは余りにも不意打ちだった。ブランコから思いっきり落ちて顔面強打。うぅ……何て日だ。
おでこをさすりながら顔を上げると、目の前には黒猫がいた。
「え、なんかごめん」
「修哉君……」
この黒猫は孤児院にいた時、よく修哉君が欺いていた黒猫だった。そのことを思い出すとなぜだか急に涙が出てきた。
「わわっ大丈夫!?痛かった!?え、どうしよう……」
「ううん……大丈夫」
「とりあえずベンチに……」
目をこすると、能力を解除した修哉君が心配そうに顔を覗き込んでるのがわかった。
「…………」
「…………」
しばらくの沈黙の後、私は口を開いた。
「皆……ひどいよっ……長い間、一緒にいた仲間……なのにっ。しゅ、修哉君が、こんなことするわけっ、ないのにっ!」
思い出すとまた涙が出てきて、ろれつが回らなかった。それでも、修哉君の味方だということを伝えて安心してもらいたかった。
「……ありがとう。でも、僕はもう……」
無理だよ、といった顔で俯く修哉君。確かにそうだよ。あの状況を見れば。
私に力があれば、修哉君を助けられるのに……!
「ココどこだかわかる?」
「え?わかるよ?」
「とりあえずこんなとこじゃあれだから……」
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はせがわ@断じて腐女子ではない(プロフ) - 裏花@カノさん» 違反らしいです。運営側の方針で。難しいですよね……私はカゲロウデイズとつなげるつもりだったので、「if]の話に変えました (2014年10月25日 13時) (レス) id: b8438eaa16 (このIDを非表示/違反報告)
裏花@カノ - あの、頑張ってください!私もカノが裏切られる小説を書いているんですが…違反何ですか?教えてください!はじめての小説なんで、分からないんです! (2014年10月9日 22時) (レス) id: af061d8dda (このIDを非表示/違反報告)
初音茉莉(グレルと鈴屋君下さい)(プロフ) - はせがわ@断じて腐女子ではないさん» ん~…まあ、ほどほどにね。 (2014年10月7日 6時) (レス) id: 8932232cf5 (このIDを非表示/違反報告)
はせがわ@断じて腐女子ではない(プロフ) - 初音茉莉(グレルと鈴屋君下さい)さん» おぉなるほど。暴力ないし、そんなに悪くなってないよね……? (2014年10月6日 18時) (レス) id: b8438eaa16 (このIDを非表示/違反報告)
初音茉莉(グレルと鈴屋君下さい)(プロフ) - はせがわ@断じて腐女子ではないさん» 流血表現てか暴力表現だね。後、キャラ改悪とかも違反だからね… (2014年10月6日 17時) (レス) id: 8932232cf5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はせがわ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/32899322fc51/
作成日時:2014年10月2日 17時