毎週日曜日の楽しみ_fkr ページ8
福良side
「お客様は何名様でしょうか?」
今週も、凛とした声が鼓膜を揺らす。
「一人です」
「カウンターでもよろしいですか?」
ポニーテールに結われた髪が、彼女の行動一つ一つに反応する。
「大丈夫ですよ」
僕がそういうと、彼女は嬉しそうに笑った。
「では、ご案内しますね」
思い出せば僕が彼女に一目ぼれしてから、毎週のようにこのカフェに通っている。
「お仕事ですか?」
「え、あぁ、はい」
初めての質問に若干戸惑いながら答えると、彼女は小さく音を立てて笑う。
「いつもお疲れ様です」
その言葉に、少しだけ耳を疑った。
「いつも?」
「はい。毎週日曜日にこの時間に来ていただける方の顔くらい覚えますよ」
彼女はそういうと、テイクアウト用にラッピングされたであろうサンドイッチを僕の前に置いた。
「これは?」
「私からの、ホンノ気持ちです。受け取ってください」
そういうやいなや、彼女は“いつものですよね”といって奥に戻る。
思わず置かれたサンドイッチに視線をやった。
「…ありがとうございます」
彼女にこの声が届いたかは定かではないけれど、お礼を言わずにはいられなかった。
「…でも、こういう優しさが、僕を君という沼に引きずりこむんだよ」
君に逢える毎週日曜日。
君に逢うことが、毎週日曜日の楽しみ。
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