検索窓
今日:28 hit、昨日:0 hit、合計:76,310 hit

331 ページ30

医務室に入ってからは、私の膝の上で大人しく座っているA。


太「Aちゃん、口開けて。」


私の目の前にいるAの肩をトンっと叩き、こちらを向かせる。


Aは、何…?といいながらも、あっと口を開けてくれた。


太「(本当に君は、変なところが素直だよね。)」


私は雛鳥のように口を開けているAに、先程の飴玉を放り込む。


『っ!なひ、こへ。』


太「飴玉。」


Aはコロコロとそれを口の中で転がす。


『ほんな、もの…たべひゃへるなんて、んっま…お兄さん、やっぱ、わるひひとでひょ!』


口の中に飴が入っているせいか、Aは上手く話せないらしい。


一生懸命コロコロと口の中で飴を転がす。


飴に夢中で入ってきた森と中原にも気づかない。


森はAの様子を見て笑うと、近くへと寄る。


森「おや、Aちゃん。何食べてるのかな?」


唐突に前に現れた森に肩を揺らしたA。


そして、ゴクンッという音。


『ゲホッ、ゲホッ…!!あめ、まるごと飲み込んだ…』


しゅん、と分かりやすく肩を落としたA。


私は吹き出しそうになるのをぐっと堪える。


樋「あっ!飴なら私持ってますよ!はい、Aちゃん、あーん。」


樋口がAの口へと、自身のポケットから出した飴を放り込む。


『お姉さんのくれた飴、しゅわしゅわしてて美味しい。』


またコロコロと口の中で飴を転がし始めたA。


私はそんなAに耐えきれず、ついに吹き出してしまう。


太「あの、あのAが…っ、ククッ、飴ひとつで、こんなコロコロッ…表情を変えるなんてッ」


と、盛大に腹を抱えて笑えば、不審な顔をされる。


太「というか、Aちゃん。飴は食べたら駄目なんじゃなかったのかい?体に悪いから。」


笑いすぎて目の端に浮かんだ涙を拭いながら、彼女へとそう問う。


『別に少しくらいならいいもん……お菓子は食べ過ぎが良くないだけで、本当は身体に悪くないって知ってるの。だから、食べたことは秘密にしてね。』


両親がそういったのならそうでなければならないのだとAがいう。


森「親から子への教育は、ある意味洗脳に近い。子は親がこうだと云ったら、それが正しいのだと信じる生き物なのだよ。」


森がAの頭を撫でる。


森「心配しなくていい。もう時期に元のAちゃんに戻るよ。」

332→←330



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (107 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
491人がお気に入り
設定タグ:文スト , トリップ , チート
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

麗夜(プロフ) - 碧さん» コメント、ありがとうございます。よければ長いんですが続編移行の所を読んでくれると嬉しいです。 (2021年10月2日 1時) (レス) id: da3d507f78 (このIDを非表示/違反報告)
- 夢主に女装?させてください! (2021年10月2日 1時) (レス) id: 044844ac69 (このIDを非表示/違反報告)
- 明日香ちゃん文すとの世界に来てほしい。 (2021年9月15日 20時) (レス) id: 0f5622965b (このIDを非表示/違反報告)
桜三ツ木(プロフ) - でも、すごくよかったですよ!なので気にしないでください。あと、私も女子会一回ぐらいしかしたことないので。これからもがんばってください! (2021年9月8日 23時) (レス) id: 19095acc19 (このIDを非表示/違反報告)
麗夜(プロフ) - 桜三ツ木さん» ご希望に添えず申し訳ないです、、女子会というものを非リアの私はした事がなく、女子会かぁぁと悩み、まぁ色々調べて見て、これでも一応頑張って書いたんです… (2021年9月8日 0時) (レス) id: da3d507f78 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:麗夜 | 作成日時:2021年8月1日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。