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「…何であんたがここにいるわけぇ?」
少し語尾が伸びたそんな声がレッスン室に響く。
私も来たくて来たわけじゃないんですぅ…と心の中で反論していると
ぎろり、と鋭い彼の目は何故か質問相手の私ではなくその隣の月永先輩に向けられていることに気がついた。
隣の彼はそんな瀬名先輩を見るとにやりと笑って私の手をパッと離し、視線の主の元へと駆け寄っていく。
「セナ〜!そんなに怖い顔するなって!!」
「ちょ、王さま!!!あんまりベタベタ触んないでよ!!」
そう言って瀬名先輩は月永先輩を迷惑そうな目で見たが彼には全く効果がないようだ。わははっと楽しそうに笑うだけ。仲良しか。
「実は、Aが俺たちのレッスン見てくれるって言うから俺が連れてきたんだ!!」
何故かドヤ顔でそう言い放った彼の言葉に冷や汗がでる。…私が自主的に見に来たいって言ったみたいじゃんそれ!!言ってないし!断ったし!!
『…ちょ、誰もそんなこと…』
「えっ!?!?」
言ってない、と否定の言葉を口にしようとしたが途中、驚いた声に遮られ叶わなかった。
…だ、だれ…。
声の主を探すとそこには険しい顔をした朱桜司くんがいた。
ずんずん、と険しい面持ちのまま此方へ寄ってくる彼の気迫に圧されて少し後退りをする。
かなり距離が縮まったところで彼は足を止め口を開いた。
「いま、レッスンを見るとおっしゃいました??」
『え、あ、いや…』
…YESと答えてもNOと答えても地獄行きな予感がするのは私の気の所為ですか…??
端正な顔をした彼の顰めっ面はかなり迫力がある。
いや〜、その顔じゃなければ今のこの距離の近さはとてもご褒美でした…はい。
「ハッキリしてください。」
「まぁまぁ、司ちゃん。Aちゃん怖がってるわよ???」
彼の有無を言わさぬ物言いに脂汗が止まらなくなってきたところでそんな穏やかな声が聞こえた。
…い、いた!!!!この部屋の良心はあんずちゃんだけじゃなかった!!!
『あ、嵐ちゃん…!!』
「うちの王さまと司ちゃんがごめんなさいね?大丈夫だった??」
にこりと微笑む彼が本当に天使に見えた。無理。
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華月(プロフ) - すごく面白いです!KnightsPの私にとって最高のお話です!!更新楽しみにしています!!((o(。>ω<。)o))頑張ってください!! (2021年1月9日 17時) (レス) id: c20a326205 (このIDを非表示/違反報告)
@雨粒(`・∀・´)(プロフ) - 初めてコメントします……目に入った瞬間吹きました。ってことは物語を読んでいて共感した私はKnightsアレルギー……この作品すごい好きです!頑張ってください! (2020年8月1日 0時) (レス) id: d0142124c9 (このIDを非表示/違反報告)
はりめ(プロフ) - はちみつ様さん» 2作とも見ていただいてありがとうございます。どちらも同じくらいのペースで更新していけたらいいなと思っているのでよろしくお願いします!頑張ります! (2020年7月26日 21時) (レス) id: 9f16f9447a (このIDを非表示/違反報告)
はりめ(プロフ) - かりんとうさん» 天才なんて恐れ多いです…ありがとうございます。頑張ります!! (2020年7月26日 21時) (レス) id: 9f16f9447a (このIDを非表示/違反報告)
はちみつ様(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!もう一つの作品も見てるのですがどちらも面白くて更新楽しみにしてます!!主様これからも頑張ってください…! (2020年7月26日 21時) (レス) id: 99a34210a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はりめ | 作成日時:2020年7月23日 19時