検索窓
今日:2 hit、昨日:3 hit、合計:76,322 hit

episode.03 ページ4

*


デート。

2週間前までの俺には
まだ縁のないものだと思っていたから

どこに行って何をすればいいかなんて
考えるだけじゃ思い付くわけもなく


Aと別れた後コンビニに寄って
【デート】というワードを見つけては
ひたすら雑誌をめくってそれを睨んだ。


家に帰れば「ただいま」もろくに言わず
部屋に直行し、タンスから服を引っ張り出しては

あーでもないこーでもないと
見た目からして不良の俺が
一人ファッションショーをしているこの時まで
誰が見ても滑稽な画になってんだろう。


こんな姿、誰かに見られたら…


なんて考えが過ぎった途端
何の前触れもなく
不意にドアが開いて俺は固まる。


目を瞬かせて眉間にシワを寄せながら
俺をじっと見てゆっくり口を開いた。


「…何やっとんじゃ?」

「……ジジイー!!」


普段からあれほど
部屋に入る前に声をかけろと言ってんのに
一度も守ったことのねぇ
祖父に目撃されちまったら
あとはもうヤツにバレるのは時間の問題で。



「洋一!あんた彼女出来たんだって!?」


仕事から帰ってくるなり
ろく挨拶もせず部屋に入り込んできた母親に
親子だなともう呆れる他ねぇ。


ジジイに聞いたのかと思いきや
俺がAと帰っているところを見たと
近所のオバさんがババアに話したらしい。


「ねぇ、どんな子?可愛い?
まさかあんたから告ったの?!」

「うるせぇな!別にどうだっていいだろ!」


つーか、「まさか」ってどういう意味だ!


「写真とかないの?」

「ねぇよ!」

「じゃあデートは!?いつすんの?」


部屋に散乱した俺の服を見て
ニヤニヤと口元を緩める母親。

もう隠すことが恥ずかしくなってきて
息を吐き出すと「日曜…」と短く答えた。


「どこ行くの?」

「さぁー。どこだろな…」


映画、水族館、遊園地…
Aと一緒ならどこへ行ったって楽しそうだ。


「行くとこ決まってないなら
ウチに連れて来たら?」

「……は?」

「だって見たいし、洋一の初カノ!」


そう言って目の前の母親は
いい歳して目をキラキラさせる。


「そうじゃ、連れて来い!」

いつの間にかジジイまで加わって
ババアに加戦する。

そんな二人の勢いに押されそうになるが


「連れてこねぇよ!
いいから、さっさと出てってくれ!」


項垂れる二人をなんとか部屋から追い出し
ケータイを手に取ると
タイミングよくAからメールが届いた。


【日曜日、映画観に行かない?】

episode.04→←episode.02



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (194 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
197人がお気に入り
設定タグ:ダイヤのA , 倉持洋一   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

杏津(プロフ) - ひよ丸さん» そう言ってもらえると嬉しいです!ありがとうございます(^-^) (2016年2月22日 21時) (レス) id: 9273c5e1f7 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ丸 - 泣けました。 (2016年2月22日 20時) (レス) id: 96033a15a3 (このIDを非表示/違反報告)
杏津(プロフ) - ちーさん» ありがとうございます(o^^o) キャラ崩壊が心配だったのですが、そう言って貰えるとホッとしました。これからもギャップを大切に頑張ります!! (2016年1月20日 21時) (レス) id: 9273c5e1f7 (このIDを非表示/違反報告)
ちー - 完結おめでとうございます!倉持のギャップ萌えは他にないと思っております。チーター様の素晴らしさ流石です!これからも頑張ってくださいね! (2016年1月20日 21時) (レス) id: c2aadded24 (このIDを非表示/違反報告)
杏津(プロフ) - 乃野七さん» 最後までありがとうございました!またもっちーのお話書きたいと思っておりますので、これからもご意見、ご感想等よろしくお願いします(*´∀`*) (2016年1月20日 17時) (レス) id: 9273c5e1f7 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:あんず | 作成日時:2016年1月5日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。