episode.11 ページ12
*
３ヶ月前に偶然
Aとスーパーで会ったらしい母さんは
どういうつもりなのか連絡先まで交換して
今日俺が帰ってくるからと
Aを自宅に招いたらしい。
実際、俺とAが喧嘩して
高校から疎遠になっていたことは知っていたはず
一体なにを企んでんのか…。
「あ、じゃがいも足りない…」
「私、買いに行ってきましょうか！」
「ホント？助かるわ〜！
じゃあ洋一も一緒に行ってこい」
そう言って俺の背中を押すババア。
振り向けば、グッと親指を立てて
口パクで『がんばれ』と言う。
あー、そういう事かよ。
「洋くん帰ってきたばっかりだし私一人でも…」
「いいから行くぞ」
Aの手を引いて家を出たところで
無意識に繋いでしまった手に気付いたが
離すタイミングがわからずそのまま歩く。
「…なんか、久しぶりだね」
「……何が？」
「手、繋ぐの」
「…っ…。嫌なら離していいぞ」
本当は離したくねぇくせに
いつまで経っても素直になれねぇ自分が情けない。
「じゃあ、遠慮なく…」
てっきり離れてしまうと思った手は離れなくて
キュッと力が入った。
「洋くん、頑張ってるんだね」
「まあな…」
「実際に見てたわけじゃないけど
手からどれだけバット振ってるのか伝わってくる」
「…そういうお前は…陸上続けてんのか？」
「うん！全国にも行ったよ。
１００メートル、ベスト８だった」
「すげぇじゃん！」
全国ベスト８という言葉に感動し
半歩後ろを歩くAに振り向けば
Aはニコッと微笑んで
俺は顔が赤くなる前に咄嗟に前を向く。
「学校、Ｓ高だったか？」
「ううん。都立の王谷高校だよ」
へぇー、王谷だったんだな……って
「は？！王谷ァ！？」
「うん！この前の秋大で
洋くんの青道に敗れた王谷高校です」
あんぐりと口を開ける俺に
笑みを崩すことなく続ける。
「最初はＳ高に行くつもりだったんだけど
先生から洋くんと別れないと
学校推薦させられないって言われて
ムカついたから、じゃあいいです！って言って
一般でＳ高より偏差値高い王谷に行ったの」
すごいでしょ？と自慢げに笑うAは
本当にカッコよく見えて俺は大きく頷いた。
「まぁ、あの時私を信じてくれなかった
洋くんを見返すためでもあったんだけど」
「！…悪い」
「もういいよ。…私の方こそごめんね」
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杏津(プロフ) - ひよ丸さん» そう言ってもらえると嬉しいです！ありがとうございます(^-^) (2016年2月22日 21時) (
レス) id: 9273c5e1f7 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ丸 - 泣けました。 (2016年2月22日 20時) (レス) id: 96033a15a3 (このIDを非表示/違反報告)
杏津(プロフ) - ちーさん» ありがとうございます(o^^o) キャラ崩壊が心配だったのですが、そう言って貰えるとホッとしました。これからもギャップを大切に頑張ります！！ (2016年1月20日 21時) (レス) id: 9273c5e1f7 (このIDを非表示/違反報告)
ちー - 完結おめでとうございます！倉持のギャップ萌えは他にないと思っております｡チーター様の素晴らしさ流石です！これからも頑張ってくださいね！ (2016年1月20日 21時) (レス) id: c2aadded24 (このIDを非表示/違反報告)
杏津(プロフ) - 乃野七さん» 最後までありがとうございました！またもっちーのお話書きたいと思っておりますので、これからもご意見、ご感想等よろしくお願いします(*´∀｀*) (2016年1月20日 17時) (レス) id: 9273c5e1f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんず
| 作成日時：2016年1月5日 18時
