prologue ページ1
*
春の選抜出場が決定し
祝勝会が終わって部屋に戻る。
さっきからぼそぼそ呟きながら
ケータイをいじる沢村に
「若菜か！？」
と詰め寄れば
沢村は「んー」と曖昧な返答をする。
なんだ、違ぇのか…？
沢村の頭の上からケータイを覗けば
相手はやっぱりカノジョだった。
「なんかあいつ、俺の成長を傍で見たかったって
メールで言ってたんスよねー」
……は？
「それって、お前…」
「急に何言ってんだかー。
背後霊じゃねーんスから！」
わはは！と声を上げて笑う沢村。
このバカに一番振り回されてんのは
" 若菜 " であることを認識する。
「この鈍感ヤロー！！」
そう言って関節技を仕掛けてやれば
沢村はジタバタ暴れ出す。
「あんまカノジョを振り回すんじゃねーぞ」
「だから彼女じゃねーっスよ！！」
ギブギブと首に回した俺の腕を叩く沢村を
暫し痛みつけてから解放してやる。
「なんでいつもいつも
若菜のことになると突っ掛かってくるんスか！」
「なんとなくムカつくからに決まってんだろ」
「なんとなくって理不尽な！
つーか、倉持先輩にはいねーんスか？
今日の報告する地元の友達とか…」
「あー…」
沢村に言われて小学生の頃から
つるんでいたダチと
あともう一人、あいつの顔が浮かぶと
やるせない気分になり咄嗟に首を振った。
「いねーな…」
「なんか…すいやせん！」
こいつに気を遣われたのが癪で
「うるせぇ！」とまた締め上げる。
その日の夜は身体は疲れてんのに
なかなか寝付けず
女々しく過去を振り返っていた。
目を閉じれば
俺を呼ぶ柔らかな声が鮮明に蘇り
今でもはっきりこの耳が覚えていることに
俺は無性に泣きたくなったが、実際には泣かない。
あの頃の俺は目の前のことばっかで。
もっと周りを、先をちゃんと見ていれば
あいつは今でも隣で笑ってくれてたんだろうか…？
いや、そもそも今
それはただの幻想でしかねーか。
はっ…と嘲笑うかのような小さな声が漏れ
俺は顔まで布団を被った。
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杏津(プロフ) - ひよ丸さん» そう言ってもらえると嬉しいです！ありがとうございます(^-^) (2016年2月22日 21時) (
レス) id: 9273c5e1f7 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ丸 - 泣けました。 (2016年2月22日 20時) (レス) id: 96033a15a3 (このIDを非表示/違反報告)
杏津(プロフ) - ちーさん» ありがとうございます(o^^o) キャラ崩壊が心配だったのですが、そう言って貰えるとホッとしました。これからもギャップを大切に頑張ります！！ (2016年1月20日 21時) (レス) id: 9273c5e1f7 (このIDを非表示/違反報告)
ちー - 完結おめでとうございます！倉持のギャップ萌えは他にないと思っております｡チーター様の素晴らしさ流石です！これからも頑張ってくださいね！ (2016年1月20日 21時) (レス) id: c2aadded24 (このIDを非表示/違反報告)
杏津(プロフ) - 乃野七さん» 最後までありがとうございました！またもっちーのお話書きたいと思っておりますので、これからもご意見、ご感想等よろしくお願いします(*´∀｀*) (2016年1月20日 17時) (レス) id: 9273c5e1f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんず
| 作成日時：2016年1月5日 18時
