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*



「御幸くん、頑張ってね!!」


どこか寂しげに笑うAちゃんを見て確信する


Aちゃんは自分の気持ちに
もう、気付いていると。



「Aちゃん」

「…なに?」

「自分的にはすげぇアピールしてんのに
相手が超鈍感でどうしても気付いてもらえない時は
どうしたらいい?」


俺の意地悪な質問に
Aちゃんは目を瞬かせてから
考えるように、一度視線を落として
また俺を見上げた



「その御幸くんが好きな人はそんなに鈍感なの?」

「うん。それはもう、なんつーか…
一度抱きしめたのに気付かないほどの鈍感でさー」

「え!?御幸くんに抱きしめられたのに
御幸くんの気持ちに気付かないの!?
本当に、鈍感なんだねぇ…」


困ったように眉を下げるAちゃんに
俺は笑いを堪える



「…もうはっきりした方がいいと思うよ?」

「何を?」

「だから、その…」

「ん?」


言葉を濁し、顔を俯かせるAちゃんの顔を
かがんで覗き込めば

顔を赤くして瞳を潤ませた彼女と目が合った



「…わ、わたしっ…」




あ、ちょっと意地悪すぎたかな?



そう思った時には
俺はAちゃんの後頭部に手を回して引き寄せ
彼女の唇に自分のを重ねていた


そして唇を離すと、Aちゃんを抱きしめる



「…えっ…あ、みゆきくん…?…今、何をっ!?」

「何をって、キスだけど…?」


平然と答える俺に
Aちゃんはさらに顔を真っ赤にさせた



「…Aちゃんが…
はっきりした方がいいって、言ったから…」


Aちゃんの耳に囁くように言えば
Aちゃんはピクッと肩を上げる


本当、かわいいな…。



「俺が好きなのは…」



なんかヤバいかも…



「すき、なのは…」


あと、もう少しなのに



意識が

遠くなる……









『あーあ。負けちまった…』

『あっという間だったな』



リトルリーグ最後の大会

俺たちのチームは、15点差をつけられ
4回コールドで負けてしまった


その後、俺一人で残りの試合観戦していたとき



『めいちゃーん!!打てぇーっ!!』


顔を赤くして、声が枯れそうなくらい必死に応援してる女の子が目に入った


応援してる相手が打てばその子は飛んで喜んで

バッターを抑えれば
大きくガッツポーズを決めていた



あんな子に応援してもらえたら
俺はもっと頑張れただろうか…?



それから俺は、名前も知らないその女の子から
試合が終わるまで目が離せないでいた

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設定タグ:ダイヤのA , 御幸一也   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:あんず | 作成日時:2015年3月29日 2時

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