キミの一番近くで【御幸一也】 (ページ22)

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# 22 ページ22

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「深沢にとって誰が似合うかなんて
そんなのお前が決めることじゃねぇだろ。
大事なのは深沢の気持ちじゃねぇのか？」

Aちゃん自身が自分の気持ちに気付いてないなら、俺が気づかせてやればいい。

倉持はそう言ってケータイを取り出すと
誰かに電話を掛け始める

「…沢村か？……あ"？寮出ってなんだよ！？
んなことより、御幸の外泊届出しといてくれ」

…は？
俺の外泊届？

「俺、外泊なんかしねぇけど」

電話を切った倉持を見上げて言えば
倉持はニヤリと口角を上げた

「深沢、お前に迷惑って言われてかなりショック受けたと思うぜ？だから、責任取れよ…？」

「せ、責任…！？」

「じゃ、俺帰るからよ。
お前は朝練までには帰ってこいよ？」

そして倉持は俺に有無を言わせることなく淡々と話を進め、部屋を出て行ってしまった

健全な男子高生が一人暮らしの女子高生の部屋に許可なく泊まれるわけねぇだろ

俺もすぐに帰ろうと立ち上がるが

「…う…んっ…」

息苦しそうに顔を歪めるAちゃんを放っておけることも出来なくて

もうしばらくだけ…とまた腰を下ろした

すると、ブーッブーッとケータイのバイブが鳴り
ポケットから取り出すけど俺のじゃなくて
Aちゃんのカバンから鳴っているのに気付く

勝手に見ちゃダメだよな…？

そう思って放置していたけど
それから何度も掛かってきて

もしかしたら急用なのかもしれないと
恐る恐るカバンからケータイを確認した

画面には【鳴ちゃん♡】と表示されていて
予想外のハートマークに思わず凝視してしまうが
今は気にしてられないと電話に出る

「…もしもっーー」

『やっと出た！なんですぐ出ないのさ！？
俺だって暇じゃないんだよ？』

俺の声を遮ってブツブツ文句を言う鳴

そーいや、高校上がってAちゃんが一人暮らし始めたときから週に4 , 5回鳴から電話来るって言ってたっけな…？

暇じゃねぇならわざわざ電話して来るなよ。
そう言ってやりたくなるのをグッと堪える

『…A？聞いてる！？』

「聞いてる、聞いてる…」

『聞いてるなら返事ぐらい…ってお前誰だよ！？
ちょっ…Aは！！？』

鳴はあからさまに電話の向こうでテンパり始めた

「Aちゃんは熱出て寝込んでる」

『熱！？って…あれ？もしかして一也？』

「気付くの遅ぇよ」

『何も言わないんだから気付くわけないじゃん！』

言わせてくれなかったのはそっちだろ…。