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# 16 ページ16

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「ふーん。なるほどねー…」


話を聞いた亮介さんはそう言って
フッと笑った


「ここまできて鈍い深沢相手に、御幸も振り回されちゃってさ。こういうことにはヘタレだね」

「鈍い??
亮介さん、それどういう意味ですか?」


「そのまんまの意味なんだけど?
俺が言えるのはここまでだよ。
言っちゃうとつまらないし」



なんて言われてしまって
亮介さん、絶対楽しんでると思いつつ


もしかして、御幸くんが私のことを…?


そんな考えが頭に浮かんだけど
まさかね?と無理やり掻き消した



亮介さんはそれ以上、本当に教えてくれなくて
その後は散々ネットティーに付き合わされた








「ふぁーあ…」

「でけぇ欠伸だな…。拳1個入るんじゃね?」



翌朝、ジャージに着替えてドリンクを作り

せっせと運んでる私の横を過ぎる際に
半ば呆れ顔の純さんに言われてしまった



「寝不足か?くまが出来てるぞ」


純さんの後につづいて哲さんにまで指摘され
慌てて顔を逸らした



「お見苦しい顔を晒してしまいスミマセン」

「そーいや、アイツも寝不足だとか言ってたな」

「…“ アイツ ” …ですか?」

「ああ。アイツだ」



哲さんは倉持くんにど突かれてる御幸くんを指す


御幸くん、河合さんにメールしたのかな…?


聞きたいけど、聞きたくない
2つの思いが交錯して余計にモヤモヤしてきた




「どーせDVDでも観てたんだろ。
関東大会前だっつーのに御幸もテメェもたるんでんじゃねーか?シャキッとしろ!!」


バシッと純さんに喝を入れられ
背中がジンジンしたけど、お陰で目が覚めた




グラウンドでシートバッティングが始まる中
私は春乃ちゃんと一緒にボール磨きをしていると


「あ!御幸くん居たよ!」

「どこどこ!?」

「ほら、あそこ!」


声が聞こえてきて

そちらに視線を移すと河合さんを含めた昨日のクラスメイト3人が「カッコいい」と騒いでいた



御幸くんがカッコいいのは誰だって知ってる

もっと他に言葉はないのか

野球の知識もほとんどない人に
御幸くんの本当の凄さなんてわからないだろう


なんて御幸くんを眺める河合さんたちに苛立ちながら

なんとも醜く意味不明で皆無な見栄を張ってる自分にも腹が立つ



「春乃ちゃん、私ちょっとお手洗い行ってくる!」

「あ、はい!」


私はまだ磨き終えてないボールを置いて
トイレではなく、水浴び場へ直行し

思いっきり、冷たい水を顔に掛けて
ペチッと頬を両手で叩いた

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設定タグ:ダイヤのA , 御幸一也   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:あんず | 作成日時:2015年3月29日 2時

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