天才捕手の恋人【御幸一也】 (ページ42)

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見えない壁〈175〉ページ42

Aside

一也くんからお願いだなんて珍しいと思い
少し体が前のめりになる

御『これからタメ語で話して』

A「えっ……」

今までのされたお願いから

呼び捨てで呼んでほしい、キスして欲しい…とか

もっとむちゃぶりを言われるかと思ってたから
呆気にとられる

御『ホントは前から思ってたんだけど、お前、名前呼ぶだけでも時間掛かったろ？
だから、ゆっくりでいいかなって思って待った結果、今お願いしてんの』

確かに、名前を呼ぶだけで恥ずかしくて時間が掛かってしまったけど

A「そんなことでいいんですか？」

御『あれ？お前にとっちゃそんなことだったの？じゃあ何で今まで敬語だったんだよ？』

一也くんは不貞腐れたように言う

A「癖……ですかね？今だって使っちゃいますし、敬語…。それに一也くんは何も言わなかったから」

御『癖、かぁ。……敬語使われるたび、なんか見えない壁があるような気がしてさぁ。なんだ、もっと早く言えばよかった』

見えない壁…

そこまで考えてたんだ、一也くん

A「私の方こそ、気づかなくてすみません」

御『タメ語だって！敬語禁止な！』

A「あ、すみ……ごめんね」

あれ？意外に違和感…

一也くんに対して敬語が思ってた以上に定着しちゃってたんだ

御『ははっ！可愛いww
なんか一気にお前に近付けた気がする』

一也くんの柔らかな声が電話を通して耳に届く

御『俺が年上だからって気なんて遣うなよ？
もっとワガママ言っていいし、甘えろ』

甘えろと言われても…

A「例えば、どんな感じに？」

御『んー。今は離れてるからな……次会ったら俺にして欲しいこととかある？』

一也くんにして欲しいこと…
それならいっぱいある、かも

A「えっと…」

御『ほら、言ってみろ？』

A「……き、キャッチボールしたい！！それで一也くんに受けてほしいです！私の球…」

大会を見てまた一也くんと野球がしたい、
一也くんとバッテリーを組みたいって強く思った

御『…くっ……はははっ！！』

すると電話の向こうで突然一也くんが笑い出す

御『お前、最高！さすが天然ものだなww』

A「えっ……ダメ？」

御『んなわけねぇだろ。やろう、キャッチボール！それから好きなだけ受けてやるよ、お前の球！』

A「うん！！」

今度会ったとき何をしたいか、何をしてほしいか話すだけで凄く胸がわくわくして

次に会うのがさらに楽しみになる

早く会いたいよ