均衡を崩せ〈169〉 ページ36
Aside
同点に追い付いても未だに流れは薬師…
ここで均衡を崩さないと青道は厳しい
同点のまま裏にいって、沢村くんが無失点に抑えても一也くんの怪我を考えると延長戦へ持ち越しにしたくない
無意識に力んでしまう肩に隣に立つ成宮くんが手を置いた
成「そんな強ばるな。今一番一也を信じなきゃいけないのはAだろ？」
多「鳴さん…」
成「なんで樹まで反応するんだよ！？」
多「今日の鳴さんはなんだか大人に見えます」
成「“ 今日の ” じゃなくて、いつもだろ！」
信じてないわけじゃなかった
だけど成宮くんの言う通り、心配するより一也くんなら打ってくれるって信じないと……！！
１アウト 一塁 カウント２ー２
少し振り遅れながらも際どい球はバットに当ててカットする一也くん
そしてフルカウント
真田さんから放たれた球はツーシーム
一也くんは思い切りバットを振り抜いた
ーーーｶｷｨｨｲｰｰﾝｯ
打球は右中間へ飛んでいく
センターが走り落下地点へ向かって飛び込んだ
「「落ちろォーーッ！！！」」
スタンドの青道生たちが叫ぶ
すると打球はセンターのグラブギリギリを抜けて落下した
ここまでノーヒットから二塁打を打った一也くん
私はホッと胸を撫で下ろす
まだ逆転できたわけじゃないから安心はできない
続く前園先輩はツーシームをショートへゴロにする
成「気負いすぎ…」
ランナー進められず……かと思いきや
ショートの捕球ミスをしてそれを見逃さなかった三塁ランナー春市くんはホームへ突っ込んだ
ショートはすかさずホームへ送球するが間に合わず
その間に一也くんは三塁へ進塁
追われていた側の見えない重くのしかかるプレッシャーからのエラーだ
沢「ゾノ先輩！結果オーライっス！！」
前「やかましい！(クソ……御幸は俺に繋げたのに俺が足引っ張りそうになってどーすんや！！)」
１アウト 一、三塁
６番白州先輩のヒットエンドランで青道が２点リードする
味方のエラーに、ヒットを打たれても
集中力を切らすことなく気迫のピッチングを続ける真田さん
その後７、８番をきっちり打ち取った
９回裏
先頭打者の２番増田くんをフォーシームで打ち取る
ここからクリーンナップが続く
３番三島くんをカウント１ー２で追い込む沢村くん
決め球のチェンジアップを体勢を崩しながらもセンターへ運ぶ三島くん
そして１アウト 一塁
ダークホース４番轟くんが打席に立った
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作者名：あんず
| 作成日時：2014年6月19日 16時
