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急造投手〈164〉 ページ31

Aside



成宮くんの言葉を真に受ける “ 樹 ” くん

するとカルロスさんが鼻で笑って


カ「樹は騙されやすいなぁ。 坊やにいるわけねぇだろww」

成宮くんをおちょくるように言った


原「ただのコイツの片想いだ」


さらに原田さんがとどめを刺すように言うと

成宮くんはプクーっと頬を膨らませる


そんな成宮くんはとても一也くんと同級生には見えない

いや、一也くんが大人びてるからかな……?

片想いって何のことだろ?


A「あの、そろそろ離してほしいんですけど…」

成「やだね。言っとくけど俺、Aと一也のこと認めてないから!」

原「てめーは天宮の親かよ…」

原田さんは呆然と成宮くんを見る


多「“ 一也 ” って……もしかして、御幸さんの彼女さんですか?!」

“ 樹 ” くんはズイッと私に顔を近付ける


成「だから、俺が認めてねーから違うの!!つーか、近い!!」


多「…あれ?どこかでお会いしたこと、ありますか?……それにさっき、天宮って呼ばれてましたよね?青道にも同じ名前の人が居た気が……」

そう言ってじーっと私を見つめる “ 樹 ” くん


成「お前、気づいてなかったの?本人だよ。
夏の予選にも出てた、青道レフトの天宮A!!」


A「天宮です。よろしくお願いします……?」

そう言うと、“ 樹 ” くんは目を見開いて口をパクパクさせた


多「た、多田野樹です…。えっ……あの、小さい青道外野手で目立ってた人がこの人!!?」


“ 小さい ” という言葉に眉間にシワが寄る


成「そっ!小さくて可愛いだけじゃないよ。Aの野球センスは俺が認めてるくらいだからな!」

原「なんでお前がいちいち威張る」


A「ちっさくて悪かったですね…」


なかなか解放してくれない成宮くんから離れようとするのを諦め、試合に目を向ける


3回裏の薬師打線を無失点に抑え

4回表、青道の攻撃

得点圏にランナーが出たものの打線が繋がらず
この回は0点に終わってしまった


多「凄いですね。あのボール」

轟くんの投球に息を呑む多田野くん

カ「形がないというか、野生というか…」


確かに凄いけど

精神力も集中力もマウンドでかかるプレッシャーへの負けん気も今まで投手として努力してきた選手には勝てない…


投手から見ればマウンドという場所をナメられてるような気がして少し腹が立つな…。


成「どう見ても急造投手だろ!すぐボロが出るさ」


成宮くんは私の頭に顎を乗せて低いトーンで言った

先輩と後輩〈165〉→←都のプリンス〈163〉



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設定タグ:ダイヤのA , 御幸一也   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:あんず | 作成日時:2014年6月19日 16時

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