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仕方なくても〈138〉 ページ4

Aside



「へぇ、君、Aちゃんって言うのか。」

A「はい……」


私の隣に座る大学1年のお兄さん、羽島さん

さっきから肩に手を回してきたりとスキンシップが多い…


結局、優月ちゃんに頭まで下げられて
今日だけお願いしますと言われ

断りきれなかった私と真美は
重たい足取りでカラオケルームに戻った


終わったら一也くんにちゃんと謝ろ…


向かいに座る男の子嫌いな真美は

お兄さんに話し掛けられる度に
優月ちゃんのために頑張って作り笑いをして
喋っている

優月ちゃんはというと
お目当てのイケメンお兄さんと楽しそうに
デュエットしていた



「Aちゃんはどんな人がタイプ?」

A「タイプですか…?
……野球ばか、ですかね…」


思ったことをそのままに言うと
羽島さんに笑われた

私、そんな笑うこと言ったかな……?


「実はオレも高校まで野球してたんだよ!
ちなみにピッチャー
残念ながら甲子園には行けなかったんだけど」


野球してたと聞いて羽島さんを見る目が少し変わる


A「そーなんですか!」

「うん。……あのさ、東京に彼氏がいるって言ってたよね?」

A「はい」


隣に座ってきた羽島さんには最初に彼氏がいると言っておいた


「寂しくない?」

A「寂しいですけど…電話もメールもしてますから……」

「でもさ、彼氏くんの方はどうだろうね」


羽島さんは意味深な笑みを浮かべる


A「どういうことですか?」


「男ってさ、寂しがり屋なんだよ。
だから、もしかしたらAちゃんが見てないからって他の女と仲良くしてるかもよ?」


そう言って羽島さんは私の手に自分の手を重ねてきた


ただのスキンシップが多い人なだけかと
思っていたのに

野球してたって聞いていい人なのかもって思ったのに…


A「一也くんはそんな軽い男じゃないです」


私は羽島さんの手を払いのけ立ち上がる


A「優月ちゃんごめん、急用ができたから帰るね。今度、何か奢るから」

と両手を合わせて謝ると

優月ちゃんは「いいよいいよ」と言って
部屋を出る私にひらひらと手を振って見送った



一也くんは私が居ないからって
他の女の子と私を裏切るようなことはしない

なのに


A「何やってんだろ、私…」


いくら合コンだって知らなかったとはいえ
断れなくて一也くんを裏切るようなことして…


もし逆の立場だったら仕方ないって思っても
やっぱりすごく嫌だ


私はカバンからケータイを取り出した

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設定タグ:ダイヤのA , 御幸一也   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:あんず | 作成日時:2014年6月19日 16時

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