プレゼント〈159〉 ページ25
Aside
A「……そろそろ行かないと、ミーティング遅れちゃいますよ?」
ベッドの枕元の時計を見て、まだ一也くんから離れたくない気持ちを抑え呟く
すると、一也くんは「そーだな」と言いつつも私を抱きしめたまま離そうとしないから
そんな一也くんの胸に顔を埋めた
あともう少しだけ……と、これで何度願ったんだろう
沈黙が続く中、気まずいということもなく
ただ大好きな一也くんのぬくもりと匂いを感じられるこの時間が幸せで愛しくて
時間が止まればいいのに、とさえ思ってしまう
暫くして一也くんの口が開いた
御「……そろそろ行かねぇとな。主将だから遅れるわけにはいかねぇし」
それを合図に私は一也くんから離れ起き上がり
ベッドから出る
A「…あの、怪我は大丈夫ですか?」
あれだけ腫れ上がっていたんだ
大丈夫なわけないのにそれしか言えない自分が情けない
選手だったらプレーで一也くんを近くで見守れて、ちょっとでも支えてあげられるかもしれないのに…
御「大丈夫だよ。だから、そんなツラそうな顔すんな?」
一也くんはニッと笑ってくしゃくしゃと私の頭を撫でる
不安でツラいのは一也くんなのに
だけど本人は顔に出してないのに
私がこんなんじゃ、余計不安にさせちゃうよね
それに、心配するとその心配事って起きやすくなるって聞いたことがある
頭の上に置かれた一也くんの手をとり
明日の決勝で一也くんが怪我で苦しまず
いつも通りのプレーが出来ますように
心の中でそっと祈った
A「それじゃ、行きましょうか」
手を離してドアの方へ行こうとすると
一也くんから手を掴まれた
A「……一也くん?」
御「忘れ物、あるんだけど」
……忘れ物?
あれは一也くんの怪我を確かめるための口実だったはずなんだけど
思い当たることがなくて首を傾げる私に一也くんは微笑む
御「少しの間だけ後ろ向いて、目閉じてて」
よくわからないまま
私は一也くんの言われた通りにする
すると、鎖骨辺りにひんやりとした何かが当たった
御「目開けて、鏡みてみ?」
そう言われ、ゆっくりと目を開けて鏡を見ると
首元にはピンクゴールドのクロスが光っていた
A「これ……」
御「誕生日プレゼント。夏休み結局会えなくて渡せなかったから……遅れてごめんな?」
一也くんはネックレスに触れて申し訳なさそうに視線を落とす
A「……そんな、、すごく嬉しいです…ありがとうございます!」
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作者名:あんず | 作成日時:2014年6月19日 16時