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怪我してる?〈153〉 ページ19

Aside



御「で、お前、墓参りは?」



不機嫌だ。と顔に書いてある一也くんが私を見下ろす



A「……結局、市大と薬師の試合が気になって最後まで見ちゃいまして…。これから行こうかと……」


御「……ダメ。帰るぞ、寮に。墓参りは明日の午前中にでも行ってこい」


A「でも……」


御「今行くと、帰る頃にお前の嫌いなお化けが出るかもなーww」


A「う”っ…!?」

意地悪な笑みを浮かべて言う一也くんに私は押し黙る


御「ほら、行くぞ」


そう言って私の手をとり、バスの方へ歩き出す


鈍感な私でもわかってしまう有無を言わせない一也くんの強引な手の引き方に

一也くんの嫉妬心が滲み出ているようだった


……一也くんって、こんなに分かりやすかったかな?


ちらっと一也くんを見上げると

逆光で額に浮かんだ汗が光って見えた


この時期の夕方は全然暑くなくて
寧ろ、気温が下がって寒く感じるというのに…


それに一也くんは暑がりなわけでもない。

なのに、なんで汗なんて……




ーーー汗…………?




A「……!!」




御「……どうした?」


突然、立ち止まった私に一也くんが振り向く


A「一也くん、寮に着いたら部屋に行ってもいいですか?実は忘れ物してたんです」


御「え?……あぁ、いいよ」



ここで、怪我してる?と訊いても

病院に行く様子もない一也くんが正直に言ってくれるはずがないと思った私は

忘れ物をしたとウソをついた


部屋で二人きりになったところで強引に問い詰めるしかないと思ったから



多分、誰にも言わないで痛みを我慢してる


私も以前そうだったから……。

結局一也くんに見抜かれちゃったんだけど



今晩、高島先生にお世話になると事情を知っている監督に許可をもらい、バスに乗らせてもらう


一也くんは私を自分の隣に座らせ

はぁーっと息を吐くと

こてんっと私の肩に頭を乗せた


A「……一也くん?」


横目で様子を伺うと

一也くんは瞼を閉じて眠ってしまっていた


高「あら、御幸くんが帰りに眠るなんて珍しいわねー」


通路を挟んで隣の座席に座る高島先生がクスッと笑う


すると、後ろに座っている倉持先輩が頭上から一也くんを見る


倉「ヒャハハッ!寝顔はとても性悪には見えねぇな!ww」

言いながらツンツン一也くんの頬をつつく倉持先輩


沢「あっ!!顔に落書きするチャンスでは!?」


春「栄純くん、寝かせてあげようよ…」

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設定タグ:ダイヤのA , 御幸一也   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:あんず | 作成日時:2014年6月19日 16時

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