迷惑じゃない〈152〉 ページ18
Aside
真田さんは苦笑いをして私の頭にそっと手を乗せた
A「め、迷惑だなんてそんなこと……ないです……。」
私は少し俯き気味に言った
こんな自分のことを好きだと言ってくれる人が…
想ってくれる人がいる
そんな人を迷惑という言葉にくくりつけて終わらせるなんてこと
私はしたくないと思った
それに、恋人がいる人にここまで真っ直ぐに想いを伝えられる真田さんを心の底から
スゴいと尊敬した
もし、私と一也くんが出会う前に、一也くんに彼女が居たとして
そんな彼を好きになってしまったら
私は想いを胸の内にしまいこみ、彼に想いを伝えることなく
無理にでも諦めようとするだろう……
そう考えると、やっぱり真田さんは自分の気持ちに真っ直ぐで熱い男なんだなって思う
こういう人にみんなついていきたくなるんだろうな…
真田さんを見上げてぼーっとそんなことを考えていると
真田さんは首を傾げて笑った
真「迷惑じゃない……ってことは、俺にもまだ脈ありってこと？」
A「えっ……あの、そういうわけじゃ……」
真「じゃあ、どういうわけ？」
真田さんはズイッと顔を近付けてくる
一也くんに負けない程の整った顔が目の前に現れる
A「ぇえっと……だから、その……」
私が言葉を詰まらせていると
腕を掴まれ、グイッと後ろに引かれた
そして、ぽすっと私の腕を引いた人物の胸に収まる
ほんのりと私の好きな汗のにおいがした
顔を上げると案の定
私を抱き寄せているのは一也くんだった
御「悪ぃけど、この先一生、Aがお前に振り向くことはねぇーから」
真「へぇー、随分強気だな。俺が宣戦布告したとき焦ってたくせにww」
宣戦布告……？
話がよくわからなくて視線でどういうこと？と訊ねると一也くんに小声で「あとでな」と言われた
御「あれはっ……」
真「まぁいいや！強気でAちゃん守ってもらわねぇと、こっちも熱くなれねぇしなww
Aちゃんのこと、本気で好きだから無理やり自分のものにしよーとかそんなことはしねぇけど……」
真田さんの顔からさっきまでの悪戯な笑みが消える
真「傷付けたり、少しでも手離そうとするなら俺は容赦なくお前から彼女を奪うから。
今の恋人っていう関係に余裕かまして油断すんなよ？」
真田さんは最後にまたニッと笑って
「じゃ、明日は決勝でな！」と言って私たちに背を向け
薬師の集団の中へ入っていった
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作者名：あんず
| 作成日時：2014年6月19日 16時
