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 それからというもの、井吹は芹沢に拾われた身でありながら、近藤派の者と近しくなっていった。

 「何か食べるものを持って行ってほしいと、藤堂くんに頼まれてね」

 藤堂が部屋を出て行った後暫くしてから、粥を持ってきてくれた、後に六番組組長となる、井上源三郎。

 「ほお、良い度胸してんじゃねえか」

 怪我が治って、浪士組を出て行こうとしているところを藤堂に見つかり、攻防中のところに通りかかった、後の十番組組長、原田左之助。

 「左之には逆らわねえ方が良いぜ」

 原田と共にいた、後の二番組組長、永倉新八。

 「僕が君に気を遣ってあげなきゃならない理由なんて、何処にもないし」

 井戸で出会った、後の一番組組長、沖田総司。

 「怪我の方は、もう大丈夫なのですか?」

 喧嘩を売る沖田をたしなめる、後の新撰組副長、山南敬助。

 「どうだ。暫く此処にいては」

 沖田たちに案内されて会った、後の新選組局長、近藤勇。

 井吹が芹沢とまともに顔を合わせるのは、このすぐ後である。

 「貴様ぁ! 誰にものを云っているのか分かっているのか! 何だ、その口の利き方は」

 表の方から、怒鳴り声が聞こえてきた。

 「今の声は」

 「芹沢さんの声ですね」

 井吹に答えて、山南が教えてくれた。

 表では、若い長髪の男――後の新選組副長、土方歳三――が、初老と思われる男と対峙していた。

 「もう一度云って貰おうか、土方。貴様、この俺に何とぬかしたのか」

 初老の男が唸る。

 「何度でも云ってやるさ。――」

 「土方くん、芹沢先生に向かって、何ということを……!」

 近くにいた若い男が、土方をなじる。
 芹沢と呼ばれた男は、含み笑いを漏らした。

 「――」

 「――」

 この後井吹は芹沢と面会し、"恩返しとやらが済んだらさっさと此処を出て行く"という前提で、浪士組に留まることとなった。

 翌朝叩き起こされ、酒を頼まれ買い物に出た彼が出会ったのは――。

 「近藤さんか土方さんは、おられるか」

二章 斎藤一と頼信之→←***



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Chris(プロフ) - ファーストMeさん» わーいありがとうございます! こっちの作品も神様ネタありますから、待ってて下さい! (。>ω<。)ノ (2017年6月15日 13時) (レス) id: c0c9efb09c (このIDを非表示/違反報告)
ファーストMe - “刀と共に生きてきました”から来ました!この作品も凄く良かったです!!更新待ってます!! (2017年6月15日 13時) (レス) id: d48a818a0f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Chris | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/chrisinfo/  
作成日時:2017年5月23日 0時

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