2 ページ9
「寂しいものですね、先生」
己の師の知己・諸葛亮の枕に頭を寄せながら、綿のように丁寧に指で押さえた紙にそっと息を吹きかける。大変高価な諸葛亮の愛読の書。それでなくとも紙は高価だ。ひとつひとつの染みや、暗いにおいは、どこか懐かしさを覚えた
きっと、諸葛亮があと五年生きていたら……。
姜維と私の晴れの日があったということだろうか。
否。首を振る。
諸葛亮は思い知っていたが届けさせようとはしなかった。知己の目にかけていた少女だったAと、己の目にかけていた姜維。どちらがかわいいかなど、すでに解ろうものだ。
「あれでは、いけない…」
蜀が何の形であれ、姜維が生きているのだったらいい。それがAの今抱く譲歩だ。
現帝や彼に申す心算はないが、生きていてほしいと軟弱なものだけが先にたつ。
言葉巧みで昔のように言葉だけでも混じれないかと思うものだが、彼にその意志はないのだ。
淋しい。
これより先は読む気にも口にする気もならず、書を手放し、ころりと躰を転がした。枕は相変わらず硬く、冷たかった。
いなほん様
いかがでしょうか。年上年下でいったら年上のほうが楽しそうだなという個人的意見が主張しすぎてしまいました(反省)。勿論、編集/仕直し可能です。満足していただけたらよろしいのですが、ご意思にそりあわぬようでしたら、お気軽に申しつけください。 /遅黎侘葉
5人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
侘葉 - 返信に遅れてしまい申し訳ございません。 籠めんとをいただきありがとうございます。そう申していただけたのなら何よりです。こころより、感謝いたします (2018年11月17日 14時) (レス) id: 948d8919a4 (このIDを非表示/違反報告)
伊豆みかん - はじめまして!!こちらの小説がとても好みで、楽しく拝見させていただいております。応援しています、頑張ってください(*^^*) (2018年11月3日 19時) (レス) id: 615a0fa8af (このIDを非表示/違反報告)
侘葉 - いなほんさん» 萌えていただけたらなによりです (2018年8月15日 14時) (レス) id: 0d6fd12c2a (このIDを非表示/違反報告)
いなほん(プロフ) - 侘葉さん» 遅ればせながら拝見しました。つれない姜維さんに萌えました...リクエストを受けていただきありがとうございました! (2018年8月13日 21時) (レス) id: 0de75ad7a5 (このIDを非表示/違反報告)
侘葉 - いなほんさん» 承りました+如何でしょうかご確認ください (2018年7月12日 20時) (レス) id: 044796e3e7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:遅黎佗葉 | 作成日時:2018年5月14日 9時