夢の続き(クリスタ) ページ2
夢を見るにはちょうどいいお薬でしょう。
何某の声を聴きなながら、私はとうとうと眠に附いた。
次の次に目が覚めたとき、私は白い清潔な寝台で眠っていた。臓腑が洗われて、身も心もきれいさっぱり洗浄されたかのような心地がして、それが清潔というものだろうと勝手に思い込む。
夢を見ていたのだろうか、あの女にも男にも似た声を頭で反響させながら、さてもわからぬことである頸を傾げる。狂人な青年が叫び、巨人らしき存在がどしどしと小さな小人を蹴散らしていく。そんなめるふぇんな夢を見ていたかのように、キツネに化かされたかのように。あまりにも朧で、仕方ないことに夢であると結論づけた。
私は右腕を撫でる。冷たいものが差し込まれたような腕を撫でる。穴はない。しかし気になって服を捲る。あざひとつない、生白い腕がひとつあった。
これが私の腕なのか、と気を離して思うと、なんで私の腕なのか。と苦笑した。
穴もなければもげてもいない腕を凝視するとしばらくして飽きて、部屋をじっと眺める。
ここはどこだろうか。
するとノックひとつなしに扉が開いた。
看護婦だ。と直感した。女性の衣は白衣のそれにほどなく近い。
事実、まあ、と目を見開いた切固まって、それから首にかけていた小さな携帯を鳴らした。慌ただしく近寄ると、起きたのね!と叫ぶ。
この顔の、日本人にはないくっきりとした顔を見て、頸を傾げてしまった。見たことのある顔だ。看護婦だから。そんなカテゴリをなしに。私は同じように首にかけていた文字を上下に反転して読み上げる
『くりすた…?』
違う
あなたはその名前ではない
あなたではなくなった
『ひすとりあ』
ひどい形相で顔をゆがめた看護婦はこくこくとうなずく。
「うん、ヒストリアだよ…、私、…、ヒストリアなの」
記名されていない名前がのどからでてきた。なめらかなジュースのように出てきて、私はその看護婦が、夢に出てきた小人の王女であることを思い出した。
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侘葉 - 返信に遅れてしまい申し訳ございません。 籠めんとをいただきありがとうございます。そう申していただけたのなら何よりです。こころより、感謝いたします (2018年11月17日 14時) (レス) id: 948d8919a4 (このIDを非表示/違反報告)
伊豆みかん - はじめまして!!こちらの小説がとても好みで、楽しく拝見させていただいております。応援しています、頑張ってください(*^^*) (2018年11月3日 19時) (レス) id: 615a0fa8af (このIDを非表示/違反報告)
侘葉 - いなほんさん» 萌えていただけたらなによりです (2018年8月15日 14時) (レス) id: 0d6fd12c2a (このIDを非表示/違反報告)
いなほん(プロフ) - 侘葉さん» 遅ればせながら拝見しました。つれない姜維さんに萌えました...リクエストを受けていただきありがとうございました! (2018年8月13日 21時) (レス) id: 0de75ad7a5 (このIDを非表示/違反報告)
侘葉 - いなほんさん» 承りました+如何でしょうかご確認ください (2018年7月12日 20時) (レス) id: 044796e3e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遅黎佗葉 | 作成日時:2018年5月14日 9時