華のない隊士【日番谷冬獅郎】 (ページ9)

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9.華がない私の華の話ページ9

その後も、仕事部屋へ戻り先輩と一緒に書類を処理していた。

「ふー･･･やっと、終わった～･･･お疲れ様、藤村さん」

労いの言葉と共に肩にポン、と手を置かれた

『こちらこそ、お疲れ様です先輩。すみません、私の分まで手伝ってもらって･･･』

「いや、良いの良いの気にしないで。まぁでも、居眠りの分で書類、今度も執務室までお願いね」

『はい、頑張ります』

両手にいっぱいの書類を抱えながら外に出る。

どのくらいかかったのかは分からないが

外は、夕暮れだった

そっと書類を崩さぬように執務室の戸を開ける

今度は隊長はいなかった。

『っしょと･･･』

隊長の机に書類を置いて。

少しソファーに座って休む

隊長、なんでいないんだろう。

なんて配属になった時は思ってたけど、先輩から理由を聞いたことがあった

"隊長と雛森副隊長って幼馴染でしょ？
夕暮れ時になるといつも２人で話したり出かけたりするんですって"

"あ、そうそう私なんてこの間あの２人が手を繋いでるところ見ちゃったのよね"

"あぁ、やっぱりね私あの２人恋仲だと思ったのよ"

それを聞いた私は

ショックだった。

幼馴染が居たことなんてもちろん知らなかった

会うことなんてあの時以来なかったから

でも、悟った

夕暮れ時にいつも女の幼馴染と会う

手を繋ぐ

それはきっと、2人が両想いだからなんだろうと。

『はぁ。』

疲れと、諦めと、悔しさと、どこか嫉妬のようなものが混じり合った

ため息

想像したくもない幸せそうな2人の光景を想像してしまった

なんで望み薄な人に恋なんてしてるんだろう

『････なんだか疲れたな』

何百年も隊長の事を好きでいるのを

でも、本当は、心は助けられたあのころから全くと言っていいほど思いは変わってはいなかった

まるで心の中の思いの時間と、世界の時間が違うみたいに。

もしあの時に戻っていたら＿＿＿＿＿

やめよう、もう考えないようにしよう･････

隊長達は幸せなんだから。

私がわざわざ邪魔する事ない

『はぁ･･･』

私はまた、ため息をついた