華のない隊士【日番谷冬獅郎】 (ページ25)

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24.華がない私の久しぶりの任務6 ページ25

暗い森の奥

私は、そこを彷徨っている

くるくると同じような場所を

前も、後ろも霧で何も見えない

ふと、前に人影が見えた

それは見慣れた人影だった

『日番谷さん！』

なぜ、そう呼んだのかは分からない

ただそう呼んでいた

私が呼びかけた隊長は背中を向けたまま、こちらを向いてくれない

『日番谷さん･･･？』

「なぁ」

『！』

「お前は、誰だ？」

冷たい、声音

「お前は、俺の何だ。」

普段の隊長からは向けられたことのない

感情のないの冷たい声音が、私の心に突き刺さる

『え･･･』

「席官にもなれないただの隊士が」

「俺に思いを寄せるな」

『！･･･ぇ･･･なんで、その、ことを』

「俺に思いを寄せて良いのは」

すると、隊長は。誰かの肩を抱いているようだった

もしかして････

見えづらい霧の中、目を凝らして見えたのは。

お団子の髪型

まさか。

「俺に思いを寄せて良いのは、」

「雛森だけだ」

振り返った隊長は大切なものを見るように穏やかな視線を雛森さんに向けている

こんな変なところで隊長と会うわけがない

わけがない、けど･･･

でも、例えニセモノだと分かっていても

「お前からの想いなんて迷惑なんだよ」

アナタのその表情でその瞳でその声で

私への拒絶の言葉は聞きたくなかったな。

そうだよなぁ、だってあの二人多分付き合ってるんだもん

幾ら過去に助けてもらったからって私が入っていい、壊していい関係じゃないじゃん

お似合いなんだし

目立たない私より、可愛いし優しい雛森さんを選ぶのは当然、でしょ？

心のどこかの私がそう呟く

ズキッと胸が痛む

その傷口が痛くてどんどん冷たくなっていく

耐えられない。

これはニセモノ

これはニセモノ

これは、ニセモノ

だから、言葉も全部ウソ

全部ウソなの。

心に言い聞かせる

ウソ。

ニセモノ

じゃあこの隊長は？

"ニセモノが、隊長の姿を借りている"

目の前の隊長がニタリと汚らしい笑みを浮かべる

ふざけるな

ニセモノ。

こちらを見つめる隊長と、雛森さん。

雛森さんは目が虚ろで、歪な笑み。隊長は表情がなく光のない冷たい目

間違いない。やっぱりニセモノだ