＿＿A fun tease and a tea party for a time

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社交ダンスの際、容姿も然りだがとても上手いリードをする男性は、女性から爆発的な人気を誇る。

自ら動くのではなく動かされる感触。
でも強制的なものはなく、むしろこの流れに乗るのはとても心地いとすら思えるそのリード。
側から見てもそのレベルの高さは一目瞭然だった。


驚いた顔を一瞬貼り付けた春日姫だが、Aのリードに身を委ね、心地よさそうに踊っていた。



暫くして止んだワルツの音。
早めにクラブに来ていた古参の女子生徒も、ついうっとりと春日姫とAの踊りの目を奪われていた。


「如何でしたでしょうか、春日姫。」


柔らかな低音ボイスに、ハッと目が覚めた春日姫は、気まずそうにええ、と言って返事を返した。


するりと離れた手を名残惜しそうに拾い上げたAは、その手にそっと唇を落とす。


「また踊っていただけますか？
春日姫。」
「は。はぃ、、、」

今度こそきゃーーーーという悲鳴が上がり、これを見ていたホスト部員は、複雑な表情をしていた。


予想外の点数稼ぎをされた、と。







さて、この春日姫には以前から懇意にしている男子生徒、もとい婚約者がいるのだが。

Aは何故か部活に向かう直前にホスト部員として、この男子生徒に捕まっていた。


「あのホスト部の日暮さん、ですよね。」
「えと、そうですけど、、」
「あの良かったら、俺にワルツを教えてくれませんか？！」



誠実そうな黒髪の青年はそう言って、Aにガバリと頭を下げたのだった。



「珠洲島さん？だっけ？
いいけど、ワルツを教えるの？
何故男の君に？」
「いや、君のリードがとても上手いって聞いたから、」
「うーん、でもそれはなあ、上手いって言っても学生のお遊び程度のものだし。
教養として身につけたいのなら、プロに頼めばいい。
違わない？」
「いや、そうなんだけど、そうじゃなくて、、」


自信なさそうに俯く男に、Aは、小さく言葉を続けた。


「お金に頼らず、俺に聞きに来るってことは、教養が目的じゃないんでしょ？

技術は安売りできないんだよ。」


にこっと営業の笑みで微笑めば、


「かな子の為に、、」

とぼそっと呟いてその言葉に、Aは愛おしそうに目を細めた。


「成る程、春日姫のためですか。
大事なお客様を一人失うのはホスト部員としては悲しいですが、、、

同じ男としては、協力しますよ。」


ありがとう、と答えた珠洲島亨だが、同時にホスト部の底力を知った瞬間でもあった。

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