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「呆れたあなたたちからそんな言葉をもらうなんてね。
明日からよ、出張期間はわからないわ。
家庭の事情ということで公欠だし問題ないわね。」


問題ありまくりだがAは当たり前のようにさらりと手を離して歩き出した。


「あれ、Aどこか行くの?
部活は?」


外に出れば、ハルヒと光は手にいっぱいの資料を手にしていた。

「ちょっとね。
あ、何その課題の山。まさか数学落としたからもらったの?」
「ちょっと面白そうに言わないでよね。」
「ふふ、今度はケアミスなんてしないようにするのね、
光もよ、いい加減にしないと馨に呆れられるわよ。」
「余計なお世話だっての、そんなことで見捨てたするわけないよな、
なあ馨。」
「へ、ああ…」

唐突な出張発言に心ここにあらずの馨に、Aは二人に見えないところから静かに口元に指先を当てた。



「それじゃあ。」


そう言って彼女が立ち去ったのは、もうすぐ夏休みを控える頃だった。









「それで、日本からこちらにきたというわけか。」
「はい、お父様。」




古くから使い込まれている座敷の奥で、一人の男が上座にて鎮座していた。
重々しい空気を感じながら、女はゆっくりと首をあげた。

僅かに灯火が走ったこの部屋は、今時の空間とは全く異なる、
それどころか寒気すらするような空間になっていた。
Aは長い黒髪をかき上げた。


目の前にいる男は、むっすりとした顔でAを見ていた。



「お前を緊急でヨーロッパ公園に出すのは何も親心ではない。
お前の兄が骨折したからだ。
代役を立てようにも今回はうちが取り仕切ることになっている、恥を忍んでもよかったのだがな…この役は代々うちが受け継ぐことになっている。

お前はあくまでも代理だ。
公演が終わる五日間までの間、兄が合流できそうなら公園の途中でも退出させるいいな。」


低い声にAは、承知しました。
Aの兄というのは双子の兄だ。

性別で区別するのは当たり前のこの界隈では、Aと兄が揃って同じ環境下で過ごすことなんてほとんどなかった。
Aは兄に少しの同情をしながら、すっと後方を見つめた。
そこには真剣な顔をしたAの兄、透がいた。

「しくじるなよ。」
「わかってるよ兄さん。」

Aは静かにそう答えて、Aという名前を卸した。
透は顔を真っ正面に定め、自身の父であり師である男に頭を下げた。


「本日よりよろしくお願いしたします。」

ああ、と低い声が響いた。

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うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になっています この作品はもう更新されないのでしょうか? (2021年11月7日 2時) (レス) @page34 id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 押し付け的で母親としての愛情を持ち合わせていなかったらしいですよね。そんな割には好みでしたけど。楽しみにしています。 (2019年12月20日 11時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - イライザさん» ありがとうございます。ハリポタシリーズから引き続き拝読している身としてイライザさんの設定や世界観でコードギアスを一度拝見して見たいと思いました。私は個人的にルルーシュが好きです。特にギアスで命令している場面は特に。あと、ルルーシュの母親の愛情が (2019年12月20日 11時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
イライザ(プロフ) - ベルモットさん» コードギアスとりあえず一話みてみました、話の流れとか面白そうですし、主人公の設定も先に見ましたが魅力あふれるキャラですよね。今度書いてみますね。 (2019年12月19日 14時) (レス) id: de44fc9ed6 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - あのコードギアスとかって興味ありますか?もし良かったらコードギアスの夢小説が読みたいなぁと思ってしまいました。世界観や設定が細かくて魅力的なので (2019年12月16日 22時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:イライザ | 作者ホームページ:   
作成日時:2019年12月13日 17時

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