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「はあ、もうわかったから…じゃあこれはいいんだな?」
「ああ。」
ふいっとそっけなく顔をそらした男をにらみつけるように、Aも手持ちのカードを懐に入れた。
その光景にほおっとため息をついたハルヒだが、Aの表情はさらに暗くなった。
「まあカードは渡さずに済んだけど、残念ながら、ここから解放はされないよ。」
「え、なんで?だって、Aは別に壺を割ってたわけではないんだから、」
「そうじゃなくて、その花瓶の持ち主が俺にとっては悪かったの。」
恨めし気に前を見れば、以前として悪い顔のままの金髪男。
「そうだとも、自分の置かれた立場をよくわかっているようじゃないか。
実は、ハルヒ君。
ここにいる全員は初等部から皆、エスカレーターで上がってきているのだが、高校生から入った外部性が君以外にもいるのだよ。
それが、このA君。
容姿も抜群だし、運動も成績もいい。
彼は我々リッチマンとは違って、庶民出の成金なんだ。
金の使い方もよく知っている我々と違って、株やトレードなどで儲けた彼は、異色の存在でね。
ホスト部員のバラエティを増やすために、以前勧誘したのだが、あっけなくフラれてしまったのだよ。
だが、藤岡ハルヒ君。
君が入れば、我々の愁えも晴れる。
A君のブラックカードを押し付けるというその野蛮な行為を差し引いても、A君にはぜひここでホスト部員としていてもらいたい。
勿論、こんないい話を断ったりはしないだろう?
その様子だと君はハルヒ君とは仲がいいようだからね、君が入ったら雑用のハルヒ君が働いた分のお金をいくらかプラスして君に渡そう。」
「そんな汚いことはしなくて結構。
逆に俺が稼いだ金を全額彼の返済に充てること。
800万俺たちが稼いだら開放すること。
これ以上の譲歩はしない、いいな。
須王環。」
蛇のごとくにらみつけようとも、彼は涼しい顔のままだ。
いいだろうというその言葉に、環は悪役代官にでもなり切ったかのようににやりと笑い、周囲もまた奇異の目でほほ笑むのだった。
ハルヒだけは、ハルヒをかばうように背に立つAを不安そうに見つめるのだった。
という事件が起きてから約一週間、顧客は順調に集まってはいたものの、ある一時の時間だけこの謎のような場所は凍り付く。
第三音楽室改め、ホスト部の扉を開けた一人の女子生徒は何人かの取り巻きを連れて、今日も現れた。
「環様はいらっしゃる?」
甲高いその声の主は、綾小路嬢だった。
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うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になっています この作品はもう更新されないのでしょうか? (2021年11月7日 2時) (レス) @page34 id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 押し付け的で母親としての愛情を持ち合わせていなかったらしいですよね。そんな割には好みでしたけど。楽しみにしています。 (2019年12月20日 11時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - イライザさん» ありがとうございます。ハリポタシリーズから引き続き拝読している身としてイライザさんの設定や世界観でコードギアスを一度拝見して見たいと思いました。私は個人的にルルーシュが好きです。特にギアスで命令している場面は特に。あと、ルルーシュの母親の愛情が (2019年12月20日 11時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
イライザ(プロフ) - ベルモットさん» コードギアスとりあえず一話みてみました、話の流れとか面白そうですし、主人公の設定も先に見ましたが魅力あふれるキャラですよね。今度書いてみますね。 (2019年12月19日 14時) (レス) id: de44fc9ed6 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - あのコードギアスとかって興味ありますか?もし良かったらコードギアスの夢小説が読みたいなぁと思ってしまいました。世界観や設定が細かくて魅力的なので (2019年12月16日 22時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イライザ | 作者ホームページ:
作成日時:2019年12月13日 17時