101 アズカバン ページ8
「さてとそれじゃあ貴方の疑問に答えましょうか？」
改めて座り直した彼女の隣でハリーは、思わずどきりとさせられる。
相変わらず淡いブルーに動揺は見られないが、二月もあっていないというのは、記憶を美化させるらしい。
少女と大人の狭間にある様な綺麗な横顔を前に、ハリーがドキドキしていると…
「…ねえ、ハリーなんだか寒くない？」
とAの低い声が響き渡る。
ハリーからすれば今はどちらかと言うと暑いほうなのだが、
「え、なんのこと？」
困惑するハリーをよそにAの視線は不意に逸れて、何故だが不自然に凍り始めた窓ガラスへ。
「…な、なんか僕らが出会っとき時みたいだね。」
「ええ、なんだか普通じゃないわ。」
それはAがブリザートのごとく機嫌が悪かった時のことを言っているのだろう。
思わず補足説明をつけたくなる様なハリーのボケに、Aは冷たく返した。
ハリーなりに気を遣わせたつもりなのだが、あまりにも笑えないネタだったらしい。
一蹴するまでもなく相手にすらしないAは、ふと何かが近寄ってくる音に耳をすませた。
凍り切った車内に、虚ろ様な空気が抜ける嫌な音。
心の底から全てを放り出したくなる様な悪寒に、Aは確信した。
「ハリー隠れて、」
がばっと自身の後ろにハリーを庇ったのと、コンパートメントの扉が開かれたのは同時だった。
ぬらりとした巨体に、黒いローブから漂う腐臭、頭の様な部分からは舌を抜かれた様な虚ろな唇。
「…」
ゆらりと揺れたローブを凝視していたAは、ふとそいつの注意が自分に向いていることに確信した。
そしてもう一つ、こんな危うい状況で利口にも息を潜めている居眠り男にも。
「(…全くどいつもこいつも、)」
Aがほぞを噛んだ瞬間、ぶわりと揺れたローブ。
「うっ、」
途端Aは足元がぐらついた。
「しま、」
言い終わるより先に地面に手をつけたAは、目の前に迫ろうとしている唇が脳裏に過ぎり、恐れ慄いた。
「っ、」
なおのも恐怖心を煽る様に視界の端に揺れるローブ。
いや、そう唇から弱音が漏れようとした瞬間、
「彼女に触るな！」
隠れていろとAの陰に押し込められた筈のハリーが、目の前に飛び出した。
「だめよ、ハリー。」
かすれ声にも近い中、Aはハリーに迫る吸魂鬼と、その吸魂鬼を追い払った白い光を目に捉えた。
「だ、大丈夫かい？！」
今更すぎるその言葉にAは自嘲的に笑いながら、気を失った。
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アサノ(プロフ) - ああ、それでしたら、hp2018で開きますよ。分かりにくかったらすみません。 (2018年4月4日 22時) (
レス) id: 35d7b1e41a (このIDを非表示/違反報告)
レイラ(プロフ) - branding and Loveという小説の全てにパスワードがかかっていて… (2018年4月4日 21時) (レス) id: f5c10c9f75 (このIDを非表示/違反報告)
アサノ(プロフ) - マイボードの方に来ていただければ分かりますが、どの作品でしょうか？ (2018年4月4日 21時) (レス) id: 35d7b1e41a (このIDを非表示/違反報告)
レイラ(プロフ) - アサノさんの作品でパスワードを入力しなくては見れない作品があるのですが、パスワードは教えてもらえるのでしょうか？ (2018年4月4日 21時) (レス) id: f5c10c9f75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アサノ | 作者ホームページ：
作成日時：2018年3月28日 15時
